出版社内容情報
ファシズムに抗して、獄死したイタリア最高のインテリ家族の命運
ノー! ファシズムへの忠誠を拒み、即刻大学を追放される。以後弾圧され、獄死する生涯を運命づけられたレオーネ・ギンズブルク、イタリア最高の知性。その日常とレジスタンス。20世紀という時代を生き抜いた人々に滔々と流れる《大河ドラマ》であり、ある家族の苦渋に満ちた《叙事詩》でもある。衝撃と感動の物語。優れた思想・芸術作品として、ヴィアレッジョ賞、カンピエロ賞を同時受賞の話題作。
内容説明
ファシズム体制のもと、迫害・拷問・獄死という苛酷なレジスタンスの生涯を生き抜いたギンツブルグ家の数奇な運命。戦火絶えない20世紀を生きた人々の“大河ドラマ”にして、苦渋に満ちた家族の一大“サーガ”。ヴィアレッジョ賞、カンピエッロ賞同時受賞作。
著者等紹介
スクラーティ,アントーニオ[スクラーティ,アントーニオ] [Scurati,Antonio]
1969年、イタリア生まれ。有力紙「スタンパ」論説委員を経て、文筆活動に。2015年、『私たちの生涯の最良の時』で、ヴィアレッジョ賞・カンピエッロ賞同時受賞。2018年、ムッソリーニの浩瀚な評伝『M』は、イタリアで最も権威あるストレーガ賞を受賞。国際的な話題をさらう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
122
ペレストロイカ以後までつらい時間を過ごした東欧の作品を読んだ直後だからか、読んでいて感じるなんとなくのあまさ。その感じが最後の章「本は終わる。」の中で 作者自身の言葉で語られているように思った。ここからは少し辛口。イタリア文学にときに感じるメランコリーやペシミズム、最近では「コロナ時代のぼくら」にもあるものがどうも読んでいてのりきれない。もっと渇いたブッツアーティやモラビア、更にはエーコとは時流が違うのかな。彼らのような作品を探したい。もう少し最近の作品を読んでみなくては。2020/07/19
ヘラジカ
64
日本では歴史学者(カルロ)や作家(ナタリア)で有名なギンツブルグ一家と作者自身の一族の来歴を並置し、ファシズム吹き荒れる時代を生きた人々の生を綴った伝記小説。動きの激しい視点、言及される人物の多さ、過剰なまでに説明が詰められた一文の長さに序盤は難儀したが、中盤からは夢中になって読み耽った。激動の世界を鳥瞰した壮大な叙事詩であり、紛れもない物語でもある。すごく、すごく良かった。この本の意図、何故偉大な文学者と個人的な家族史で織り上げたかが語られる最後の章にはとても心を打たれた。傑作。今年のベスト本候補。2020/04/27
アヴォカド
15
誰も時代や歴史から逃れることは出来ず、1個の小さな一生は、脈々と続く大きな流れの中にある。忘れられない1冊になりそうだ。2020/06/08
ぞしま
11
反ファシズムに一生を捧げたレオーネ・ギンズブルグの周囲および彼のヒロイックな側面と、著者の系譜の市井の人々たちの言動が年代記的に同時に語られていく。著者は本作を(歴史作品ではなく)文学だと言うが、物語の山場はレオーネの手紙と思えたので、その辺はなんと言ってよいか分からない。着想や語りの手法が『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』に似ているが、流行りなのかな……。いずれにしてもレオーネについてこんなにもまとまって書かれた作品が読めると思っていなかったので、勉強になるしありがたい。一文一文噛みしめながら読んだ。2020/12/12
uniemo
10
図書館で1940年代のイタリアの歴史がわかると思って借りたのですがナタリア・ギンツブルグという作家を知らないのでわかりにくいところもありました。ただギンツブルグ一族も作者の親族や同時代の人々もファシズムに翻弄されながらみんな歴史の流れの一部として生きていく姿はノンフィクションドキュメントを読んでいる感じで楽しめました。2020/07/28
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