出版社内容情報
解説=中村稔
俳人加藤楸邨は短歌を生涯にわたって詠み続けていた。未収録70首を含む全800首を収録。
佐佐木幸綱氏 推薦
「楸邨が短歌をつくっていたのは知っていたが、これほど数が多いとは知らなかった。とくに驚いたのは、戦後すぐの昭和二十三年二月から四月の日付のある「短歌ノート」四百五十余首。斎藤茂吉をふかく読みこんで実践的に彼の技法をとりこみつつ、敗戦直後の社会を家族を自身を自然をていねいにうたっている。戦後短歌としても注目すべきだが、何より『野哭』以後の楸邨の俳句を読み込むうえで必読の一冊とおもう。」
内容説明
俳人楸邨の情感あふれる原点。歌人としても卓越した才能を持ち、多くの秀詠を遺した楸邨。俳句では表現できない詠嘆的な心情を詠った短歌が異能の天才を浮かび上がらせる。
目次
1 戦前歌屑
2 「傷痕より」とした短歌ノート
3 忘帰歌屑
4 「短歌に就ての記憶」より
5 「遠近」より
6 「隠岐の旅」より
7 「沙漠の鶴」より
8 上記1ないし7に含まれない諸雑誌等発表作品
9 日本近代文学館収蔵作品
参考資料 短歌に就ての記憶
孤心とエロス―楸邨短歌瞥見(大岡信)
解題・解説(中村稔)
著者等紹介
加藤楸邨[カトウシュウソン]
1905年東京生まれ。東京文理科大卒。水原秋櫻子に師事し「馬酔木」に加わり、1940年「寒雷」を創刊して主宰、その強烈な個性と広汎な視野にもとづく独自の世界を確立、森澄雄、金子兜太、安東次男など、すぐれた弟子を数多く育成、楸邨山脈ともいうべき世界を確立した。1993年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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