出版社内容情報
人類学で見れば、社会はちがって見えてくる!
自然人類学の第一人者による現代日本社会論。「ジェンダーについて思うこと」「高齢化について思うこと」「思春期にはたくさん失敗しよう」「貨幣の発明はヒトを変えたか?」「ダイバーシティーとインクルージョン」「国立自然史博物館をつくろう」「大学に初めて入る年齢はいつ?」など、目からウロコの発見と提言がいっぱい詰まった科学コラム集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
24
特に新しい知見はないかもしれません。新聞に連載されていたものだからかなあ?というか、動物を好きじゃない人間至上主義の人たちには、このぐらいに噛み砕かないと通じないのでしょうか。いや、それでも通じない?!身の回りに野生児が多いので人間ルールが当たり前として暮らしている人が、長谷川さんが思っているほど多いのかどうかに疑問。そこまでみんなアホじゃない。(と、信じたい) 2022/07/03
タナカとダイアローグ
12
中古本。朝日新聞のコラムらしく、各話が短く読みやすい。女性が働きやすく、政治に進出をという記述が印象的だった。ホモサピエンスは共同で子育てするものであって、保育園が不足しているから〜っていうのは近視的なのだなと再確認。性差は生存戦略上あるということも踏まえて発信できるのは人類学者ならではと思う。文化はつくられたものだからと反抗するフェミニストよりも懐が深いと思う。国立の総合研究大学院大学の学長が人類学者の女性というのは、相当に強いメッセージなのだと思う。確かに性差や社会制度は疲弊している。さてどうするか2023/11/08
まーぶる
12
今の社会と、その中での生きづらさの理由を人類学、進化学から見る。もともとヒトは共同で育児をする生き物で、家族、近所で育児をしなくなった今、保育所などをきちんと整備する必要がある。文化や科学技術の発展で働くスタイルや場所が変わったが、女性もずっと働いてきた。なるほど、と思う見方がかなりあった。脳や体の進化は長い時間がかかるが、今の社会の変化はとても早い。人間は適応力があると思うが、本来持っているはずの性質を理解してこそ、誰も取り残さない社会を築いていけるのかもしれない。2020/12/26
jackbdc
8
毎日新聞連載エッセイのまとめ。著者と私では物事の見方に共通点が多かった。はて、どこかで接点があったと記憶を辿ってみたけれど、そのような事実は思い当たらず、人類学や生物学的アプローチに起因するものかもしれないと思い至る。印象に残った点3つ、1.適応の限界:人類は狩猟採集生活の環境に適応しており、農耕や工業社会に適応し切れてはいない。2.男女の差異:根本的に生存戦略が異なるので同権であっても同質ではない。3.集団生活:孤立的子育てが不適であるように人類は集団生活に適合してきた経緯がある事を忘れてはならない。2021/11/01
Micky
6
『モノ申す人類学者』と言うタイトルの方が内容に合っていると思う。現代の人々の抱える問題を人類学者の知見から書き連ねたエッセイ。 男と女の生きる戦略の違いは生物学的な進化の過程で決定づけられたというお話はスッと納得。一個の卵子を育てていく女性のコストは大きい。一方精子を競争させる所からスタートする男性は種の保存にコストをかけず余ったエネルギーを狩猟の旅や闘争に向ける。チャレンジしないと勝ち抜けない、時としてリスクも厭わない。男と女は良し悪しではなく生物学的に異なる生き物なんだなとあらためて確認いたしました。2020/06/15