出版社内容情報
毒殺事件からアメリカ社会を描く。
1915年から1936年までの20年間――「ジャズ・エイジ」と呼ばれる狂騒の1920年代を含むこの時期に、アメリカの法医学は誕生し、犯罪捜査において確固たる地位を築いた。その立役者となった二人の人物、チャールズ・ノリスとアレグザンダー・ゲトラーのひたむきな努力と、彼らが解決に導いた毒殺事件、その背景にあるアメリカ社会の様相を描いたノンフィクション。
内容説明
「ジャズ・エイジ」と呼ばれる狂騒の1920年代を含むこの時期に、アメリカの法医学は誕生し、犯罪捜査において確固たる地位を築いた。その立役者となった法医学者ノリスと毒物学者ゲトラーのひたむきな努力と、彼らが解決に導いた毒殺事件、その背景にあるアメリカ社会の様相を描いたノンフィクション。
目次
プロローグ いたちごっこ
クロロホルム(CHCl3)一九一五年
メチルアルコール(CH3OH)パート1 一九一八~一九一九年
シアン化合物(HCN、KCN、NaCN)一九二〇~一九二二年
ヒ素(As)一九二二~一九二三年
水銀(Hg)一九二三~一九二五年
一酸化炭素(CO)パート1 一九二六年
メチルアルコール(CH3OH)パート2 一九二七年
ラジウム(Ra)一九二八~一九二九年
エチルアルコール(C2H5OH)一九三〇~一九三二年
一酸化炭素(CO)パート2 一九三三~一九三四年
タリウム(Tl)一九三五~一九三六年
エピローグ 最も確実な毒
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
86
1910年から30年頃に起きた様々な毒物を扱った事件。その事件の様子、犯人像、いかにしてどのような毒物を使って毒殺に至ったかなどが書かれている。翻訳本が悪いというわけではないが冗長な言い回しがわたしにとっては読みにくかった。クロロホルム、シアン化合物、ヒ素、水銀、一酸化炭素他4つの毒物が収められている。すこし期待はずれでした。図書館本2020/02/13
しましまこ
22
毒殺犯を捕まえるのは難しいが、有罪にするのはそれ以上に難しいのか。2021/05/22
DEE
15
禁酒法時代のアメリカで監察医として活躍したノリスと、ひたすら実験を繰り返すことで正確さを追求し続けた化学者のゲトラー。死因となった毒物を死体から抽出したり、正確な致死量を測定したりと、アメリカの法医学の基礎を作ったとも言える二人の終わりなき戦い。 上質なミステリーのようなノンフィクションだった。 日本では監察医の数が少なく司法解剖の手が足りず、心不全と漠然とした括りで処理された遺体の中には犯罪絡みのものも少なくないだろうという話をどこかで読んだ。 かなり過酷な仕事ではあるが真相究明は大切だと思う。2020/06/13
まある
11
ちょうど100年前、科学捜査の基礎を築いたふたりの人物の話。その本筋とは関係ないのだが、タイムリーな内容が第2章に。当時スペイン風邪が大流行し、ニューヨークでは船員から一気に広まった。ラッシュアワーの混雑を避けるために営業時間をずらす、人が集まる場所に行かないよう呼びかける、劇場で窓を開けるといった今と共通する対策がなされていたが、一方で、口を覆わずにくしゃみをすると軽犯罪に問われたり、子どもたちが「チーズクロスで顔を覆い、ニンニクを首に巻いて登校」するといった、当時ならではのものも。2020/04/13
Nwshina
10
六時間十分ほどで読了。毒殺の歴史について纏めた本。僕はこういう知識が詰まった本に興味があるからか、とても長い時間を楽しめた。ニュースで聞いたことのある毒物や、伝記に登場する馴染みのない毒物まで。物語のような纏め方で文系も読みやすい。禁酒法の件は実に滑稽で、為になる本でした。『毒殺犯を捕まえるのは難しいが、有罪にするのはそれ以上に難しいのである』、『彼らは犠牲者を次々に増やしていき、その多さがやがて疑惑を呼び、罪が発覚するのだ』…どちらからも毒物の解明の苦労が読み取れる。未開拓は難しい。真の毒物を知る一冊。2022/02/19
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