出版社内容情報
政治を見つめ、政治を考え、政治を語る。そして、その先にあるものを問い直す――
政治とは何をしているのか、私たちは政治に何を求めることができるのか、どこまでが政治でどこからが政治ではないのか――。政治を語ろうとするとき、その言葉はいつも空虚になる。権力、シニシズム、国家、民主主義、管理社会……。政治に科学における真理のようなものはなく、ゆえにさまざまな力学のなかで、そのさまざまを調整することが役割なのだとしたら、行き着く先には「政治の砂漠」しかないのではないか。フーコー、そしてアレントの思想を深く読み解き、政治とは何かという問いに迫る渾身の書。
内容説明
いま起こっていることから丁寧にひとつひとつ思索をつみかさね、フーコー、そしてアレントへと考究を深めていく。権力、民主主義、シニシズム、国家、憲法、管理社会、自己への配慮、公共性…。自分自身をふくめあらゆるものが連鎖し、もはや境界もなくつながっている「政治」という荒野で、これまで対峙してこなかった政治学的知から政治思想までをつぶさに捉え返し、政治とは何かを問う、著者渾身の書。
目次
第1章 問いの移動―政治があるところに政治はないか?
第2章 シニシズムは超えられるか、超えるべきものか
第3章 国家の外の生
第4章 憲法とアンティゴネー
第5章 民衆のいない民主主義
第6章 最悪の政治
第7章 公共性と自由意志―ハンナ・アレントの思想
第8章 フーコー『肉の告白』を読む
第9章 「アナルケオロジー」へ―最後のフーコー
終章 政治の根底にあるもの
著者等紹介
宇野邦一[ウノクニイチ]
1948年島根県松江市生まれ。哲学者、フランス文学者。京都大学文学部卒業後、パリ第8大学でジル・ドゥルーズの指導をうける。1980年にアントナン・アルトーについての研究で博士号取得。1979年には「文学の終末について」が第22回群像新人文学賞評論部門優秀作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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