出版社内容情報
巨人の知られざる戦後の生
近代を代表する詩人であり彫刻家、そして、同時に戦争協力の罪業を負う人――高村光太郎。その背後にあった生活と思想とは。花巻での疎開生活と山房での独居、同じく時勢に与した斎藤茂吉との比較、失敗に終わった十和田裸婦像の製作過程……それらを追うなかで浮かびあがる、近代の巨人の隠された姿。前著『高村光太郎論』にも書かれなかった、一人の人間の〈戦後〉を丹念に写しとった、渾身の一書。
内容説明
戦争を賛美した二人の巨人、詩人・彫刻家高村光太郎と歌人斎藤茂吉。戦後、光太郎が岩手県花巻郊外に独居して書いた『典型』と茂吉が山形県大石田に寓居して書いた『白き山』の定説を覆し、緻密な論証により正当な評価を与え、光太郎の十和田湖裸婦像の凡庸な所以を新たな観点から解明した卓抜で野心的評論。
目次
第1章 高村光太郎独居七年
第2章 高村光太郎『典型』と斎藤茂吉『白き山』
第3章 上京後の高村光太郎―十和田裸婦像を中心に
著者等紹介
中村稔[ナカムラミノル]
1927年、埼玉県大宮生まれ。詩人・弁護士。一高・東大法学部卒、『世代』同人。1950年、書肆ユリイカから詩集『無言歌』を処女出版。詩集『鵜原抄』(高村光太郎賞)、『羽虫の飛ぶ風景』(読売文学賞)、『浮泛漂蕩』(藤村記念歴程賞)、『言葉について』(現代詩人賞)、伝記『束の間の幻影 銅版画家駒井哲郎の生涯』(読売文学賞)、自伝『私の昭和史』(朝日賞、毎日芸術賞、井上靖文化賞)ほか、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件