出版社内容情報
偶然手に取ってぱらぱらっと見て、すぐに惹かれてしまったんです……こういう書き手がひっそりとどこかにいる……世に出ようと思って書いた文章ではないことに、とても打たれました。
――須賀敦子
読み始めて、文章の見事さにまず本当に感心しましたね……筆をとる人間としては、ある意味では脅威を感じます。
――菅野昭正
(TVKテレビ「机の本ベッドの本」より)
人種を異にし肌の色を異にする人々との心のふれあい、愛犬との出会いと再会と別離など、商社員として、生活の過半を海外で過ごした国際人が綴った人間愛の文章。
内容説明
人種を異にし肌の色を異にする人々との心のふれあい、愛犬との出会いと再会と別離など、商社員として、生活の過半を海外で過ごした国際人が綴った人間愛の文章。
目次
1(わがセバスチャン;西アフリカの春;セバスチャンが死んだ夜;バスラーの白い空から;サン・セバスチャンに雪のふる夜半)
2(私の週末;一九四四年 春;海コーコート鳴レル夜ハ)
著者等紹介
佐野英二郎[サノエイジロウ]
1926年生まれ。早稲田大学を卒業後、大手商社員として、アメリカ・イギリスそしてアフリカなど、およそ19年を海外の各地に勤務。1987年、胃がん手術を受ける。1992年、術後5年の無事を祝ってまもなくの後、急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
12
ヴェールのかけられた静かな叙情、遠くから呼び起こされる透明な澄んだ記憶、明晰な思考と強い意志、各所でのつましくも豊かな人との交歓。書かれなかった空隙。 一読してサン=テグジュペリ(堀口大學の訳・文体)が思い起こされたが、本書の中で引かれてもいた。 セバスチャン(犬)との交流、作者の彼へのまなざしには適切な距離が敷かれており、それこそが最大限の愛情であり哀惜の表現だったのではないだろうか。あえて劇的にしない誠実な<哀しみ方>に深く胸を打たれた。ずっと読んでみたかった本(青土社さん再販ありがとうございます)。2019/08/23
ぞしま
5
再読。やはりよい。 サンセバスチャンの話なんて、須賀さんが語っていてもおかしくないほど、親和性を感じる。 2025/05/06
ぴよ子
0
静かで、あたたかくて、かなしくて。生きるってきっとそういうこと。2020/12/13
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