出版社内容情報
ロングセラー『唯脳論』から30年、待望の新著が小社より堂々の刊行!!
日本を代表する解剖学者が、現代の自然科学、ヒトの脳の変化、科学信仰の功罪から、日本の政治、経済、社会までを論じつくす! 小さな動物やミクロな細胞など、細部をつぶさに見つめることが、地球や歴史などの全体へと繋がってゆく。いつも私たちのそばにある思想。
養老孟司[ヨウロウタケシ]
著・文・その他
内容説明
私たちはこれからどこへ向かうのか?進化理論、科学信仰、戦争体験、国際情勢、気候変動、市場経済…日本を代表する解剖学者が、あらゆる現象を論じつつ、ヒトの意識を「解剖」する。『唯脳論』から30年。ニヒリズムに陥らないための現代社会の手引き。半自伝的エッセイ集。
目次
1 煮詰まった時代をひらく
2 世間の変化と意識の変化
3 神は詳細に宿る
4 脳から考えるヒトの起源と進化
5 「科学は正しい」という幻想
6 面白さは多様性に宿る
7 虫のディテールから見える世界
8 ファーブル賛歌
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年神奈川県鎌倉市生まれ。解剖学者。東京大学医学部を卒業後、解剖学教室に入る。1995年に東京大学医学部教授を退官し、東京大学名誉教授。1989年に『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。2003年に『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。現在も旺盛な言論活動をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zoe
20
メモです。りんごとこのりんご。白馬は馬にあらず。生物多様性をうたって、虫一匹いない近代的な東京の本社で仕事をするという笑い話。現代人には呪いが効くという前にも聞いた話。ニュースは済んでしまったこと。ネットでいくら調べてみても、それはすべて済んでしまったこと。とりあえず、人に尋ねる前に、調べたら。載ってなかった誰もやっていない新しいことなら、挑戦したら。2022/07/06
Makoto Yamamoto
19
久しぶりの養老孟司。種々の色々雑誌に掲載されたものを集めて出版されたもの。 読むたびに新しい視点をくれる著者に感謝している。 今回も同様だった。 人間以外は絶対音感をもっているし、人間も生まれたときは絶対音感を持っている。 音痴は人間だけであり、それは人間特有の能力によるものであるとか、興味深い。 情報は過去のものであるとに認識も同様に面白く、日本人とドイツ人の美しさを検知する手段の違いも納得。その他多々あったが、割愛。 またまた養老ワールドにはまりそう。2019/10/11
ハチ
17
微分、モネの眼、ファーブルの眼、フェルメールの眼。 その時間の導関数で見えた美しさを積分できてますかという、最強80歳の現代人への問いかけ。意識と無意識の往還の中で丁寧に生活していたい。散歩に出よう。2019/04/08
春風
14
養老孟司氏のエッセイを編んだ一冊。机上で、過ぎ去った二次情報を弄ぶ者を嗤い、自然の中で直接、感覚で一次情報に触れ、背景を見る事を良しとする。人間は意味あるもので周りを糊塗したから、意味を問わなくなった。氏もまた『言葉で変わるのは人間の意識だけ』という。そして『現代人には呪いが効くようになった』という意見に賛同する。『今の日本人はもしかしたら、何か正しい答えがあって、全員それに向かって統一されていくのが理想だとおもっているのではないでしょうか』というのは、二次情報塗れの本読みへの皮肉とも言えるのではないか。2020/04/18
FOTD
13
いろいろな雑誌に書いてきた文章を集めてできた本。地域、戦争、脳、美しさ、昆虫、地球温暖化、など様々なテーマが扱われている。休憩時間に読むのに最適な本だった。養老先生の文章はいつも刺激になる。ああ、なるほどと思うことも多い。「ハエも蚊もゴキブリも一匹もいないところで生物多様性について論議する」って、笑った。 とても良い本だった。養老先生の本は今後もときどき読んでいこう。2019/12/02