世界は美しくて不思議に満ちている―「共感」から考えるヒトの進化

長谷川 眞理子【著】

青土社（2018/09発売）

• サイズ B6判／ページ数 246p／高さ 19cm
• 商品コード 9784791771011
• NDC分類 469.04
• Cコード C0040

出版社内容情報

なぜ利他行動が進化したのか。
連綿とつづく進化史において、ヒトは近年、異常な状態に置かれている。70億人を超える世界人口、化石燃料を中心とした大量のエネルギー消費、ＩＴ技術の急速な進歩……。足りすぎているのに不足感を募らせよと迫りくる文明の行き着く果てとは？　ヒトが長い時間をかけて進化させてきた「共感」をもう一度想い出し、次世代へとつなげるために、いま、立ち止まって考える。

長谷川眞理子［ハセガワマリコ］
著・文・その他

内容説明

連綿とつづく進化史において、ヒトは近年、異常な状態に置かれている。７０億人を超える世界人口、化石燃料を中心とした大量のエネルギー消費、ＩＴ技術の急速な進歩―。足り過ぎているのに不足感を募らせよと迫りくる文明の行き着く果てとは？ヒトが長い時間をかけて進化させてきた「共感」という能力をもう一度想い出し、次世代へとつなげるために、いま、立ち止まって考える。

目次

序　文明の先を見据える
１　世界へ出る（情報過多と好奇心のゆくえ；人生は楽しいし、世界は美しくて不思議に満ちている　ほか）
２　ヒトを知る（ヒトの「はじまり」；ヒトは共同繁殖　ほか）
３　社会で生きる（生態学から考える「持続可能」な社会；行動生態学から考える「子どもの虐待」　ほか）
結　科学技術文明はどこへ向かうのか

著者等紹介

長谷川眞理子［ハセガワマリコ］
１９５２年東京都生まれ。人類学者。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。専門は自然人類学、行動生態学。イェール大学人類学部客員准教授、早稲田大学教授などを経て、現在、総合研究大学院大学学長。野生チンパンジー、ダマジカ、野生ヒツジ、クジャクなどの研究を行ってきた（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[haruka]

人間は家族の垣根をこえ、みんなで子育てをする｢共同繁殖型｣の動物である。でも、この50年で台頭した個人主義が、子育てを母親だけのものとして閉じこめてしまった。産みたくない、という若者の叫びは、不況だけが原因ではない。 個人主義は楽で、快適で、もう同居も大家族もPTAも町内会も煩わしいけれど、快適を追求した末に人間が本来の人間らしさを失った結果、若者は子どもを欲しがらない。母性本能とは自動的に働くものではなく、｢今育てられない｣と状況を敏感に察知した女性は、産まないか、捨てるか、虐待に走ることもあるのだ。

2025/02/26

[月夜乃 海花]

タイトルはあまり関係ないエッセイ本でした。 どうして人間は他の生き物と違う共感性を持つのか、子供の育て方など言われてみればそうだなぁと言える程度の本。

2019/04/14

[の]

長谷川眞理子は、難しいことをわかりやすく書いてくれるから好きだ。「行動生態学から考える子どもの虐待」という章はまさに目から鱗。教育や福祉のあり方を変えなければ、これからも起こり続けることがわかった。

2019/10/05

[サラダ]

著者は自然人類学、行動生態学の専門家です。言語と文化を生み出したヒトの生物学的な特徴を、他の動物と比較することによって明らかにしています。進化論、利他行動、親の子殺し、共感、社会性といった興味をそそられるキーワードで話が進められていて、この分野が初心者の私でも楽しめました。雑誌などに掲載された文章を寄せ集めたものなので、導入部分では同じような説明が繰り返され冗長な内容となっている点は残念でした。

2019/01/17

[y]

様々なメディアに投稿された文章が集められているので、内容の重複が多く感じました。 が、タイトルから想像される内容をはるかに超えた論説があり、いい意味で裏切られました。 特に生物の進化から、子どもの虐待、ヒトの女性の生殖と寿命、宗教などを論じた後半は、とても面白かったです。 人間は技術を駆使して環境を改変し、他の生物とは一線を画しているような気になっていますが、やはりひとつの生物の一種であるのだなと、改めて感じました。

2019/03/01