内容説明
すぎゆく日常のなかで、わたしたちは、震災の何を記憶し、そして何を忘れてしまったのか―。あの日に更新することを余儀なくされた「読み」と「批評」と真摯に向き合い、これからの文学の地平を見通す。不安、崇高、憑在論で読み解く、未来への文学論。
目次
序章 『震災後文学論』のあとで
第1章 震災後文学とマイノリティ
第2章 フクシマとは何か
第3章 フクシマからヒロシマ、ナガサキへ
第4章 震災から戦争へ
第5章 震災後文学の憑在論(hauntology)
第6章 フクシマ以後の崇高と不安の憑在論
第7章 放射能災と生のあやうさ
著者等紹介
木村朗子[キムラサエコ]
1968年生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科教授。専門は言語態分析、日本古典文学、日本文化研究、女性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たろーたん
1
個人的に印象深かったのは、アドルノ「アウシュヴィッツの以後、詩を書くことは野蛮である」にまつわる話。浅田彰は震災後のアートや思想を批判していた。まずは現実を受け止めて、妙に浮足立つ必要はない、と。他にも、安易に震災を語るのは不謹慎という意見もある。こういうのが、アドルノの引用に加えて「だから黙っていろ」の文脈で語られた。しかし、アウシュヴィッツ以降も詩は書かれ続けてたし、文学もなくなっていない。多木浩二によると、アドルノも後に「永遠に続く苦悩は、(続)2024/09/20
ねこ
0
久々に評論を読んだけどさくさく読めた。もう8年も経っていた。昔大学生のころ「あなたは原発についてどう思いますか」という問に答えたら「非国民ですね」と言われたことがあったけど、なるほど非国民だったんだとわかった。どうしたいか。2019/06/03
Tomonori Yonezawa
0
【地元図書館】新聞書評を読んで、「原子力災害時の〜マニュアル」みたいなものを作る際の自分の根っこを広げてくれる本だと推量。図書館に感謝。さて、感想は…正直なところイマイチだと思いました。前著「震災後文学論」は未読だが高評価らしい、ということもあって借りたのだがどうも読みづらく頭に中身がスッと入ってこない文章でした。原子力まわりの人では、似た名前に村上朋子さんという方がいて、その方は大変分かりやすい文を書くんである。私はその人が書いた本だと混同したのだろうな。ネタ本に分類はするが、あまり心に響かなかった。2018/06/10
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