内容説明
混迷する日本と世界にむけて、11人の気鋭の論者と交わされた徹底的な討議。常に透徹したヴィジョンで現代世界を読み解いてきた思想家による初の対談集。私たちはいま、いかに希望を語りうるのか。
目次
1 戦争のなかで(戦争の現在を問う(インタビュー)
「非戦」のための地政学×伊勢崎賢治
いま、「非戦」を掲げる―戦後70年 反転された「平和と安全」
「非戦争化」する戦争)
2 多極化する世界(「アメリカの世紀」の終わり(インタビュー)
罠はどこに仕掛けられたか×栗田禎子)
3 破局のあとに(現代の思考は何を忘れているのか―「合理性」は間尺に合わない×島薗進;われわれは「破局」を見た―経済にとっても、経済の濁流は勝利の瞬間ではなく、終わりの瞬間である×大澤真幸)
4 歴史の闇から(広島は「復興」したのか―“平和都市”再考×東琢磨;「公害」の時代を生きて×宮本憲一)
5 未来はどこにあるか(フクシマ以後、二〇世紀における人間の生存条件を問う×西山雄二×渡名喜庸哲)
著者等紹介
西谷修[ニシタニオサム]
1950年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学フランス文学科修士課程修了。哲学/フランス思想。明治学院大学文学部教授、東京外国語大学大学院総合文化研究科教授を経て立教大学大学院文学研究科特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
4
私にとって氏は主としてフランス現代思想の研究をベースに、世界大戦やアウシュヴィッツについての哲学的な思索を重ねてきた思想家、という認識。その氏が戦争や紛争、グローバル経済、沖縄経済、日米同盟、民族問題、人間の合理的思考と核の制御などの問題について行った11本のインタビューや対談を収める。反戦反核という言葉は既に古めかしささえあるが、氏の主張はまさにそこにある。私は氏の主張には多く同意しないが、その思考は信頼している。その思考が、各問題の研究者や実務家たちと切り結ぶ。現場に置かれた「知」の緊張感に興奮する。2018/01/28