内容説明
セザンヌ理解を大きく揺るがす、峻厳な「サント・ヴィクトワール山」連作。今この瞬間に死滅し、かつ再生する世界を捕獲せんとするセザンヌの果敢な試行を追う。大胆で挑戦的なセザンヌ論。
目次
1章 あの石の塊は火だった
2章 漁村レスタックの海と谷―印象派を越えて
3章 丘の上の建築
4章 ビベミュス石切り場にて
5章 終焉に向かう世界
6章 プロヴァンスのプッサン
7章 巨人のいる場所
8章 南仏のメランコリー
著者等紹介
持田季未子[モチダキミコ]
大妻女子大学名誉教授。東京大学大学院比較文学・比較文化博士課程単位取得修了。美学・美術史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くろねこ
7
昨日セザンヌの絵を見て、読みたくなり再読。セザンヌに惹きつけられつつ、うまく言葉にならないところを言葉にしてくれていると感じる。セザンヌは「世界の始まりの時を根の下に求めるとともに…世界の終わりの時をも見ていた」。しかもそれは、「現在という時の中に始まりと終わりが共存して」いるという形で。「彼は、いまこの瞬間に死にかつ生まれる世界を、なんとかしてつかまえようとしていた。」(p.117)著者はこの本が出版された約1年後に亡くなられたようです。プッサン論も読んでみたかったです。2020/06/25
渡邊利道
6
セザンヌの風景画を、その修業時代から晩年まで、サント・ヴィクトワール山連作を中心に分析する本。長い時間、歴史以前から崩壊までを内包する風景としての、山、岩。高い視点から描くスタイル。プッサンに学ぶ「古典主義」など、面白い論点が多くいろいろ考えながら読んだ。やはりセザンヌの言葉は含蓄が深い。2018/01/18
スミレ雲
3
【図書館本】セザンヌ、ピカソが注目した男。生前はあまり評価されなかった。彼の全体をとらえる目が東洋思想とつながっている気がして、興味がある。デカルト主義者といわれたりもするみたいだけど、僕には別の面がある気がして、主観と客観の前の状態、メルロポンティ的、西田幾多郎的、ヴァレラ的に見えて、面白い。2018/09/24
ilikegomaabura
0
サントヴィクトワール山に行って映画をとりたいな2020/01/21