内容説明
モンゴルからアメリカへ、八丈島からフクシマへ、世界中の様々な場所を訪ね歩き、「いま・ここにはいない」自己へと変容する。知り得た知識を捨て、目的を持たずに歩き、経験の可動域を広げる。オートポイエーシスの第一人者が、歩いて歩いてたどりついた、行為哲学の真骨頂!
目次
第1章 吟遊する哲学
第2章 ワールズ・エンド(チェジュ記;ウエスト・コースティング;イーストコースト・エクスプレス;生命の異系)
第3章 ジャパニーズ・リンボ(大地の熱;ファンタスティックロード;チバニアン)
第4章 フクシマ・ランドマーク(現実性と希望の輪郭;ラディオアクティブ奥の細道;フクシマ・レヴィジテッド)
著者等紹介
河本英夫[カワモトヒデオ]
1953年鳥取県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学大学院理学系研究科博士課程満期退学。専門は科学論、システム論、オートポイエーシス。長崎大学助教授を経て、東洋大学文学部哲学科教授、博士(学術)。あらゆる人間の生の深層に届く言葉を繰り出す唯一無二の哲学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
5
紀行文といっても紀行しながら書けはしない。制作である以上事前に規定されるとも、結局は事後的に成立する。開高健が「戦争など紙の上にしかない」と嘯いてベトナムに従軍しても、結局はその記録を戦後の中で書いてしまったのと同じだ。現実の経験/紙の文章という区別自体が後者によって転写されるとき、いかなるリアリティも残らず、単に別のリアリティが始まっている。「知を捨てよ、荒野を歩け」という帯文句に釣られ購入し即日読了したものの、APSの提唱者も改変者も荒川修作も死んだ今、著者のみがまた新たにどこへ行くというのだろうか。2017/11/03
チエコ
1
オートポイエーシスがまだなんなのかよくわからない。もっと読みたい。2017/11/08
KJ
0
「場所の喚起力」「経験の巡礼」という言葉が語るように、各地を著者が訪れて知を拡張していく(オートポイエーシスを実践する)様子を味わえる。哲学者の旅行記的にも楽しめて、個人的に将来こんな老後を送れたら楽しそうだなと。『オートポイエーシス』は昔読んだけど内容殆ど忘れてしまったので、今度読みなおしたい。縁あって行けた天命反転住宅もまた行きたい。ちなみにご所属大学のゼミでは卒業研究で、論文だけでなく詩や小説(!)なども認められるのだとか。