内容説明
ボサノヴァ、映画『男と女』、加藤和彦やYMOとの交流…俳優として、シンガーソングライターとして、プロデューサーとして、そしてレーベルのオーナーとして、数々の輝かしい軌跡を遺し、2016年に世を去ったピエール・バルー。その壮大な仕事の全体像を、高橋幸宏、鈴木慶一、牧村憲一ら当事者の新証言をまじえながら描き出す、世界初となるピエール・バルー/サラヴァの決定版バイオグラフィー。
目次
第1章 サラヴァ前史
第2章 サラヴァの黄金時代
第3章 ピエール・バルー、日本へ行く
第4章 90年代サラヴァの新展開
第5章 21世紀のサラヴァ
著者等紹介
松山晋也[マツヤマシンヤ]
1958年鹿児島市生まれ。雑誌編集者などを経て、97年から音楽評論家。ミュージック・マガジン他の音楽専門誌や朝日新聞などでレギュラー執筆。時々、ラジオやイヴェント等での解説、選曲なども。執筆領域はほぼ全ジャンルにわたるが、中心はワールド・ミュージックと実験音楽系。音楽関係のガイドブックやムック、ライナーノーツなど多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
3
世俗的なしがらみから逃れ、その時々で自分らしくあろうと努めるピエールがこだわり続けたサラヴァ・レーベル。彼自身が惹かれる音楽のみを紹介する姿勢は、常に自由であろうとする精神の発現であり、自己の拡張形を提示する作業にも思える。歌や芝居と同じくサラヴァはピエールにとって作品であり表現だったのだろう。自他の架橋でありながら同時に強烈な個を感じる。〈サラヴァは九十九・九パーセントがピエール・バルー自身だった〉という牧村憲一氏の言葉が伝えるように。独立レーベルという形態とその意義を改めて考えさせられた。2018/06/10
Silver Machine
0
気楽に読むつもりが、ちょっとビターな読後感。ピエール・バルーと彼が設立したサラヴァ・レーベルの話だが、この二つが時折コンフリクトを起こしていたことを知ったのが目から鱗。確かにピエール自身のノンシャランな音楽と、フォンテーヌの極端な緊張感のある音楽はその思考が相いれないことを思い起こせば当たり前の話だが。天真爛漫、言葉を換えれば「他人を気にせず自分のやりたいことだけやる」という社会不適応な性格を持った彼のようなアーティストが今日生きるのは難しいのではないか。日本人と絡む90年代以降の話は興味がわかなかった。2021/05/28