内容説明
「ド田舎」から上京してきた、ずんぐりむっくりの少年。東京のエリートたちにたじろぎながらも、みずからの居場所を見出していく。個性豊かな少年たちは、あまりにも自由に楽しいことも悲しいことも共有しながら、「そこ」で大人になっていった。シリーズの原点にして最新作。
著者等紹介
今野浩[コンノヒロシ]
1940年生まれ。専門はORと金融工学。東京大学工学部卒業、スタンフォード大学OR学科修了。Ph.D.、工学博士。筑波大学助教授、東京工業大学教授、中央大学教授、日本OR学会会長を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kiyoshi Utsugi
24
東京学芸大学付属世田谷中学校に入学した今野浩少年が、東京のエリートたちと交流を結ぶことになった世田谷少年交差点というのは、同級生である江藤健一(仮名です。モデルが誰かは不明。)の自宅で、ここに気心の知れ合う仲間が集まり、そのまま仲間と一緒に日比谷高校、東京大学へと進みます。 先に「工学部ヒラノ教授の研究所わたりある記」を読んでいたので、こちらに登場する高校から一緒になる野本雪夫が野口悠紀雄氏、中学から一緒の佐藤精一が斎藤精一郎氏をモデルとしていることは分かりました。 読みやすかったのです。2020/09/28
るっぴ
22
工学部ヒラノ教授の学生時代の話。日比谷に行きたい、東大に行きたいで、頑張っている姿がいい。教授になるのは、大変だ。東大に入らなきゃ人間じゃないという考えの母をもつと大変だが、よく東大に入った。楽しく読了。2017/08/12
なにょう
14
ヒラノ教授の人生の始まり始まり。人がついてくる人の条件とは。①どんなに些細なことでも親身になって聞き、解答を用意する。②他人の長所を褒め、欠点はいたわる。③必要とあらば身を賭して相手を救う行動力を持つこと。p139なるほど。★この方のご母堂をはじめ母親の存在は大きい。母親に変わる何かを見つけられたらいいけど、それがうまくいかないこともあるんだろな。2018/05/20
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
8
工学部ヒラノ教授の何たるかをまったく知らずに手にとりました。全共闘まっただなか世代の方のようで、ブルジョアクラスタに入りきれなかった悲哀がてんこ盛り。欧州の階級社会に比べたら日本はまだのしあがれる余地があるように言われてたけど、やっぱ生まれたクラスはどうしようもないね。文系官僚が理系の技術者をバカにする、ってのは士農工商の流れなのかしら。なーんだ、日本って江戸時代から変わってないんだ。かつての六本木族がキャンティを懐かしむのと似たようなテイストの物語でした。2017/07/10
Susumu Kobayashi
5
主として著者の小学校時代から大学時代、そしてその後の人生について最終章で少し触れられている。「東大以外は大学ではない」というような考えの孟母ならぬ猛母に育てられ、天才肌の兄に劣等感を抱き、著者の青春の紆余曲折が描かれていて興味深い。「男にとって一番大事なことは、優秀な仲間と付き合うことなんだ」(p.81)という、友人の父親にも励まされて勉強に励み、挫折を経験しながらも東大受験に合格する。兄がどうなったのか知りたいところ。別の本に書いてあるのかな。2017/11/24