出版社内容情報
佐藤文隆[サトウフミタカ]
内容説明
長州ファイブ、アインシュタイン、工部大学校、重力波検出、ニュートリノ…科学界の第一線で活躍しつづけてきた著者が、社会の趨勢や制度の変化のなかで時代に寄り添いながら生きてきた「科学」の姿を描き出す。
目次
ニュートリノ「スーパーポジション」
工部大学校―後進国の先進性
重力波検出実験の社会科―久しぶりの米国
大戦のストレステスト―「理研百年」、高木貞治
「昭和反動」下の“科学”と“科学的”
占領下異物としての学術会議
アカデミックな職場の変容―大学院生事情の今昔
超新星爆発とSSC中止の間
アインシュタイン生誕一〇〇年と「改革開放」初期―周陪源と方励之
学校教育界と学問研究界―デューイからトランプまで
ソ連物理学の光芒―ランダウ-リフシッツ
「国民国家」と科学―世界遺産・ニホニウム・単位名
著者等紹介
佐藤文隆[サトウフミタカ]
1938年山形県鮎貝村(現白鷹町)生まれ。60年京都大理学部卒。京都大学基礎物理学研究所長、京都大学理学部長、日本物理学会会長、日本学術会議会員、湯川記念財団理事長などを歴任。1973年にブラックホールの解明につながるアインシュタイン方程式におけるトミマツ・サトウ解を発見し、仁科記念賞受賞。1999年に紫綬褒章、2013年に瑞宝中綬章を受けた。京都大学名誉教授。元甲南大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりたく
0
「現代思想」連載コラムの単行本。オックスブリッジの科学蔑視、財政独立志向と理研ベンチャー、占領軍下異物の学術会議、後進国に活路を求める若手学者、士族の立身出世手段としてな理工系など研究現場の歴史が興味深い。個人的には大学がグローバル化しなければアカデミア雇用が増えないという事実はもっと議論されるべきと思う2017/07/02
古本虫がさまよう
0
著者は物理学者。物理といえば「赤点」…と僕の場合なるのだが…。内容紹介には出てこないが、目次をぱらぱらと見ていたら、ソ連物理学、ランダウといった「言葉」が目にとまったので手にした次第。 中身はそういった科学エッセイ。「占領下異物としての学術会議」「『昭和反動』下の”科学”と”科学的”」なんて項目もある。中国のサハロフと言われた方励之との交友なども綴られていた。著者の立場は、まぁ、中庸。特に目を見張るものは、個人的にはなかったが、たまには理系本も…。こういう数式の出てこないエッセイ本ならまだ読める。2017/06/18