出版社内容情報
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
内容説明
神話は運命をどのように描いたのか。泥棒と嘘つきの神がなぜいるのか、福神の目がみえない理由とは、貧乏神が私たちにとって必要なわけ、アキレウスはどうして理想の英雄なのか、ヘシオドスが見つめた人間の運命とは何か…。碩学がギリシァ神話に人間性の根源をたどる。
目次
第1章 泥棒と嘘つきの神はなぜ必要なのか―ヘルメスが世界にもたらしたもの(泥棒と嘘つきの神の誕生;アポロンとヘルメス ほか)
第2章 福神の目がひらくとき―プルトスはわたしたちを幸せにできるのか(福神はなぜ目が見えないのか;アスクレピオスの信仰 ほか)
第3章 貧乏神がいる理由―ペニアが語る貧乏から学ぶこと(貧乏神ペニアの登場;技術も発明も慎ましさも貧乏だから存在する ほか)
第4章 理想の英雄―『イリアス』に描かれたアキレウス(ギリシァ文学と神話の嚆矢としての叙事詩;二人の美女とアポロンの怒り ほか)
第5章 人間の運命はいかにして描かれるのか―ヘシオドスからみる人間観(『神統記』と『仕事と日』;プロメテウスの悪だくみ ほか)
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
1934年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部、学習院大学文学部教授を歴任。学習院大学名誉教授。専攻は比較神話学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遊未
5
吉田敦彦先生の著書は昔から読んでいますが、内容的に「ヘルメス」の話と「福伸(プルトス)」の話は初めてです。古代ギリシャもやはり「先立つものは金!」だった訳ですね。そして、健康(医神アスクレピウス)」も。「金!金!」の人間のところに神々もやって来てしまうところがおもしろいです。ここに富を独り占めしよう、隣人より豊かになりたいというような欲望が無いところが良いのでしょう。2017/04/17
林克也
0
ゼウスとプロメテウスとパンドラの話がとても勉強になった。女って、そういうことだったんだ。深く深く納得です(でも、今の時代にこんなこと言ったり書いたりしたらたちどころにアウト、です)。次に、目の見えない福神プルトスの存在理由、そして貧乏神ペニアと農夫クレミュロスとの問答。とにかく、神話の時代も今も、神や人間のやることって何ら変わりがないことが、改めてよくわかりました。いままで読んだギリシャ神話関連本の中で一番の本でした。2016/10/13
いちもく
0
プロメテウスとゼウスのくだり面白すぎて震えた2022/03/13