出版社内容情報
由良君美[ユラキミヨシ]
内容説明
風狂は、にんげんの深層にひそむ“逸脱”への情熱である。この“根源的旅情”に殉じた、妖気の浮世絵師や狂想の作家たちをはじめ、メルヘンやおとぎ話における綺想の構造、現代俳句の中の風狂、愛書狂の贋作始末記など、憑かれた夢の系譜をたどる。待望の復刊。
目次
日本的幻想美の水脈(『梁塵秘抄』にみる日本の心;日本的幻想美の水脈―伎楽面から芳崖まで ほか)
幻想の核(人間性の恒常の相を示すメルヘン;“始源の時間”に回帰するおとぎ話 ほか)
風狂の文学(夢野久作の都市幻想;自然状態と脳髄地獄―夢野久作ノオト ほか)
現代俳句における風狂の思想―中村草田男(『美田』随感;おそるべき解剖の眼 ほか)
贋作風景(贋作風景;本物と偽物 ほか)
著者等紹介
由良君美[ユラキミヨシ]
1929‐1990。英文学者。学習院哲学科、および英米文学科卒。’56年慶應義塾大学大学院英米文学専攻修士課程修了。同大学助教授を経て、’65年より東京大学助教授。’76年教授。’89年定年退官、名誉教授。専門は、コールリッジを中心とした英国ロマン派文学であるが、言語学、比較文学はもとより、オカルト、サブカルチャーとその守備範囲は広い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
54
英文学の碩学が、日本の文化や文学について論じた一冊。とはいえ著者らしく所謂文化の正道みたいなものではなく、一風変わった脇道みたいなものを中心に評論している。冒頭の『梁塵秘抄』や蕭白でいきなり心を鷲掴みにされるも、それは入り口。幻想文学を正面から論じたものや、書誌学と贋作等非常に興味深く読む事が出来た。一番面白かったのは「風狂の文学」の章。久作や大泉黒石、平井呈一を論じているのをみると、彼らの作品の魅力というものを改めて思い知らされる。ここに書かれている数々、魅力的だったものがさらに光を増すように感じた。2016/10/01
amanon
2
天衣無縫、縦横無尽…ごの正確な意からはずれるものの、本書を読んでいるとそんな言葉が脳裏をよぎる。英文学者でありながら、その広い視野と膨大な知識に裏付けされたその論考には目もくらむばかり。正直冒頭の美術論はあまりなじめない領域で、若干の違和感を覚えたものの、とりわけ簫白という画家によって、マニエリスムへの理解が深まった気がする。また、今日では恐らくあまり顧みられることのない在野の文人、平井呈一との出会と交流は、深く胸を打つとともに、今日では難しくなった膝を突き合わせた人との関り方に深い憧憬を覚える。2017/02/28
へんかんへん
2
東洋画六法、六法とは、一に気韻生動、二に 骨法用筆、三に応物象形、四に随類賦彩、五に経営位置、六に伝模移写 メモ字が汚すぎて解読不能 ぐぐった2016/09/11
ぱらっぱ
1
久しぶりに由良君美の本を読む。 著者の師匠である平井呈一、中村草田男や夢野久作、坂口安吾たなどの本が紹介される。紹介が上手く読書欲がおおいにそそられる。2021/01/30
-
- 和書
- K 時代の恋人