内容説明
子育ても一段落、これからは夫婦の充実した時間が待っている。そう思っていた矢先、妻の突然の発病。病院通いのストレス、仕事と介護の両立、在宅介護と施設介護、制度変更に翻弄される日々、確実に衰えていく妻。老いた夫は何を考え、どのように行動したのか。絶望と希望のあいだを揺れ動く、19年におよぶ老老介護の記録。
目次
第1部 在宅介護(嵐の前;心室頻拍;もう一つの難病;終了計画;五連拍;要介護度二;不運な娘;要介護度三;要介護度四;シティ・ホテルとビジネス・ホテル)
第2部 施設介護(収容所;大腸憩室;思いもよらない言葉;介護付き有料老人ホームの実態;誤嚥性肺炎;病院付属の介護施設;三・一一大地震;二〇一一・四・三;後悔)
著者等紹介
今野浩[コンノヒロシ]
1940年生まれ。専門はORと金融工学。東京大学工学部卒業、スタンフォード大学OR学科修了。Ph.D.、工学博士。筑波大学助教授、東京工業大学教授、中央大学教授、日本OR学会会長を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なにょう
36
なんか地味な表紙だし、介護の話だし読むのやめようかなとも思ったが、読んで大正解だった。なるほど、著者は教授であり、時間もお金もある。しかし、一番すごいのは体力・気力、とにかくパワーがすごい。年中無休で朝4時とかから起き出して、学校、施設回って、よくぶっ倒れなかったな。(流石に一回は入院してる)よくこんなに働けるものだな。★本書ではじわじわと身体が弱る神経難病の介護がテーマだ。詳細で読みごたえがある。今年、ベストの書物かもしれない。2017/11/19
bianca
36
ヒラノ教授本は過去に2冊ほど読んだ。その中では僅かに奥様の介護生活の話が出てきただけだったのだが、教授生活晩年の19年間はまさに介護中心の超多忙な日々を過ごしていたヒラノ、いえ今野教授。奥様は心臓が悪いうえ、脊椎小脳変性症という遺伝性の難病を発症(しかも後に娘さんまで同様に発症)。家族皆が相当に辛い日々過ごしていた。思わず手をあげてしまったことまで、包み隠さず記録されているが、実は教授が奥様を介助しているようで、奥様が生き長らえることが、教授の寿命を支えていたことに気付かされる。涙なしには読めなかった。2017/10/10
kasim
33
順風満帆の東工大教授が夫人の突然の難病で20年近い介護生活に。内容は壮絶そのものなのに、合理的で冷静な文章には時々ユーモアさえ漂う。病状の詳細や露わになる家族の亀裂まで赤裸々に淡々と描かれ、読み進めにくいほど辛い箇所もある。まだ若い娘さんまでが同じ病気になり、介護していた夫(教授の娘婿)にDVを受ける。娘を救出に行った著者が婿と押し問答をする場面の凄まじさ。その後今度は自身が奥様に暴力を振るってしまい、反省する一方で婿に同情するようになる。それらすべてを俯瞰して語る迫力。奥様自身はどう感じていたのだろう。2022/08/23
れんこ
12
好きなヒラノ教授シリーズ。ご家族の立場からの介護についてはとても参考にもなりました。2016/08/16
Miko
11
50才で奥さんが発病してから19年に及ぶ介護の大変さが綴られ私も夫と二人の生活なので考えさせられた。70才まで現役で仕事しながら介護をしてたのは凄い。でも介護だけの生活より違う時間が救いになったのかも。同じ病に倒れた娘さんのヒラノ教授に対する不満は思い通りにさせてもらえなかった気持ちなんだろう。金銭的に安定して上の学校に行かせてもらっただけで感謝だろうに。母親が倒れた時に父は病室さえ一人で入れなかったことを思えば幸せな奥さんだったと思う。でも暴力はいけない。夫婦が元気な今は幸せです。2020/05/30