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出版社内容情報
チャペック最後の作品が遂に刊行!主人公フォルティーンは、若い頃から芸術家気取りの思い上がりで、ありもしない作曲をネタに若い女を口説いたり、名声を求め、ヒマと怠惰の生活から生じた妄想の超大作オペラを実現に、全身全霊を傾ける。盗用・買収はもちろん、ありとあらゆる手段を駆使して出来上がるものとは……。人間の魂の真実を究める、チャペック絶筆にして傑作。
内容説明
主人公フォルティーンは、若い頃から芸術家気取りの思い上がりで、ありもしない作曲をネタに若い女を口説いたり。名声を求め、ヒマと怠惰の生活から生じた妄想の超大作オペラの実現に、全身全霊を傾ける。剽窃・模倣はもちろん、ありとあらゆる手段を駆使して出来上がるものとは…。人間の魂の真実を究める、チャペック絶筆にして傑作。
著者等紹介
チャペック,カレル[チャペック,カレル] [〓apek,Karel]
1890‐1938。チェコの国民的作家にして国際的にも熱烈な愛読者を持つ。ジャーナリストとしての活動と同時に、「ロボット」「山椒魚戦争」「園芸家12ヵ月」等の代表作のほか、童話や戯曲も執筆
田才益夫[タサイマスオ]
1933‐。演出家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
41
図書館他館取り寄せ本。 カレルチャペックは3冊目です。 この作品に出てくるエセ作曲家は今でいうサイコパスというやつでしょうか?他人の気持ちには鈍感というのがサイコパスの特徴ですが、自分のことばかり考えて他人の気持ちを知ろうとしないエセ作曲家は職場にいてほしくない人物像です。 エセ作曲家が作ったような芸術は最後悪しき芸術と呼ばれていました。自分の願望がちりばめられた作品をメアリースーなどと呼ぶ傾向があるようですが、他者への共感が芸術には必要ということでしょうか?2018/06/21
鱒子
13
図書館本。「ロボット」という言葉の生みの親、チャペックの未完の絶筆。うーん、伝記っぽいけど創作…ですよね。ともかく全編通して甘ったれた主人公にイラっっ!ラストは作者チャペックの死後にオルガ夫人が「生前の夫が話していた構想」という形で締めてくれています。どうやらかなりバッドエンドっぽいので、チャペックの精緻な表現でこれを読むことができないのは残念ですが、ある意味ホッとします。2016/02/21
tama
12
図書館本 新刊だが誰も借りてない 昔から知る作家だが、初読み。この作品は自分が「偉大で孤独で、素晴らしい才能を認められていない」と思い込んでるしょうもない自称作曲家を、関係者の証言で描いて行く。頁が進むにつれ徐々に見掛け倒しが暴かれ、終章の言葉は物凄い。「嘘をつくという性癖が彼を自滅させた 彼自身が、嘘の空想でありひとかけらの真実もない現実そのもの」「もうとっくに自分が正常な人間と見られなくなっていることにも、無駄金を注ぎ込んだことにも、まだ気づいていなかった」お前!聞いてるか!?2016/03/03
刳森伸一
6
チェコの作家カレル・チャペックによる未完の絶筆。ただしラストまで構成を妻に語っており、妻がカレルの死後にその内容をあとがきとして認めているため、全体像を掴むことはできる。フォルティーンという「作曲家」の生涯を様々な人の証言から浮かび上がらせるのだが、そのフォルティーンが自意識過剰なだけの真正ダメ人間で、その生き方は悲惨。いくらなんでもこんな悲惨な生き方をする人がいるのかと思いたくなるが、ふとネットなどに目を向けると、かなりいそうな気がして怖くなる。2020/10/03
しゃんぷーしょく
3
自意識の肥大化とそれに振り回される周囲を描く作品。口々に語られるフォルティーンが口だけ大きくて嫌悪感が先立ってしまったけれど、案外、表面化したりそこまで大ごとにはならないだけで、誰の心にもフォルティーンはいるのかもしれない。2020/08/15
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