内容説明
科学でも予想し切れない複雑で変化に富むこの世界のなかで、生き物たちはなぜ自然を学び、環境に適応し、そして生き残ることができたのか。その答えは意外なものだった。計算機科学の世界的権威が「PAC理論」で挑む生命進化の謎。
目次
第1章 エコリズム
第2章 予測と適応
第3章 計算可能―定義できるものすべてが計算できるわけではない
第4章 自然の機械論的説明―何を探せばいいのか
第5章 学習可能―個別の経験から一般的な意味をどうやって引き出せるか
第6章 進化可能―単純な仕組みから複雑なものがどう進化できるのか
第7章 演繹可能―不正確な概念による推理の仕方
第8章 エコリズムとしての人間
第9章 エコリズムとしての機械―なぜ人工知能は実現しにくいのか
第10章 疑問
著者等紹介
ヴァリアント,レスリー[ヴァリアント,レスリー] [Valiant,Leslie]
1949年、イギリス生まれ。ハーバード大学ジェファーソン・クーリッジ記念計算機学・応用数学講座教授。国際数学協会のネヴァンリンナ賞や計算機学のノーベル賞といわれるチューリング賞を受賞している
松浦俊輔[マツウラシュンスケ]
翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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konomichi
4
機械学習の大家による、「学習」と「進化」を数学的に統一しようという試み。チューリングの計算停止問題を起点に、人工知能(機械学習)と、生命の進化論を同一視しようというもの。面白いけど、難しくて消化不良。再読必須。2015/04/09
U-tan
4
馬鹿げている.面白い.設計・制作の複雑さ,運用,計算・制御の複雑さを直接定量してしまう枠組みが物理と情報の界面では必要になるなあと思いながら読んだ.進化学において,複雑な表現型がどのように出現するかという点,技術史・科学史で画期的な進歩がどのように生じるかという点を,計算論・学習アルゴリズムの科学の観点から当代一流の計算機科学者が好き勝手に考えた面白い本.本を通じてのキーワードは ecorithm と probably approximately correct. 分散的な計算モデルと計算複雑さのクラス.2015/03/01
Tenouji
1
「学習」というセオリーが存在する、という着想は面白いんだけど、展開はそうでもなかった。2015/04/19
takao
0
生物進化と学習をアルゴリズムとして理解する。2017/05/06
askmt
0
論文を薄めたようであまり納得感が得られない。啓蒙書という感じでもないし、ちょっと中途半端な感じ。PACをきちんと説明した方が意味があったのではないか。2016/05/25