内容説明
「美女」の基準とは何か、残虐な拷問の歴史から何が見えるか、「不老不死」はどう夢見られたのか…。人々の想像力は現世を離れて自由にかけめぐる一方で、新たに現世の光景を書き換えていく。比較文化論の第一人者が文学、美術、演劇、風俗などのさまざまな領域を探訪しながら、東洋の多様な人間像を提示する。
目次
第1章 想像のなかの男と女(恋の文学と遊里;恋する男は戦わない ほか)
第2章 人体の万華鏡(肉体の不可能に挑む愛欲;空想の地誌学と人体変形のパノラマ ほか)
第3章 夢をめぐる断章(史実のなかの夢、詩画のような夢;不老不死の夢 ほか)
第4章 モノ・記憶・記号(文字と書物の旅をめぐる綺想;美味なるものは時間を航行する ほか)
著者等紹介
張競[チョウキョウ]
1953年生まれ。専門は比較文学・比較文化論、文化交流史研究。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(比較文学比較文化専攻)。博士(学術)。東北芸術工科大学助教授、國學院大學助教授、明治大学法学部教授、ハーバード大学客員研究員を経て、明治大学国際日本学部教授。主な著書に『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫、読売文学賞)、『近代中国と「恋愛」の発見―西洋の衝撃と日中文学交流』(岩波書店、サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
3
不老不死とは寿命という枷から解き放たれることで客観的な視野を手に入れることであり、全知全能になる前提条件である、という件にえらく引っかかったのは私が日本人のご多分に漏れず小学生くらいで『火の鳥』の洗礼を受けたから。不老不死とか絶対罰ゲームだぞ、と刷り込まれている。でもまあ、葬儀までもが徹底して生者の為の儀礼でしかないなら、棺材を見るまで死ぬことなんか考えたくもないというのも分かる。毛沢東の死にざまとかコントかよ。そう考えれば、使途のかよくわからない全知全能も、要は他人に振り回されたくないだけか。滅尽滅相!2018/04/20
ひろゆき
1
雑学。なるほど博物誌。著者が広報誌を含むあちこちに掲載した文章をまとめたものだから仕方ないか。春画や刑罰というか残酷行為から豆腐までの中国文化。むき出しの残酷さにビビる。食でもなんでもこの徹底した精神はなんだろう。日本との違いに圧倒され、それゆえに様々に考えるネタにはなる。2014/12/15
rubeluso
0
中国文化に表れた夢想をテーマにしたオムニバス。楊貴妃が肥満体と伝えられたことを捉えて古代の美女観は我々と違ったとする論はよく見るが、実際他の詩に見える美女観は現代とそうかわらない部分もあるとしたり、中国の春画を紹介し日本のそれと比較することで日中の性に対する意識を述べてみたり、図像を通しての人間に対する眼差しが説明される。個人的に一番感心したのは明代に著された空想旅行記の中にあるという「男性を女性化させ女性が男性として権力を振る舞う国」のくだり2015/10/19