内容説明
オイディプスが挑んだ謎の本当の答えとは?さまざまな謎と不思議に満ちたギリシア神話からよりすぐりの物語を紹介。奇怪な言葉遊びから、人間と世界の深淵に迫る問いかけまで、多彩な知恵の宝庫を読み解く。
目次
第1章 古代ギリシア人にとっての女の謎―水の中の火だったパンドラと女たち(プロメテウスの策略;最初の人間の女、パンドラ ほか)
第2章 ギリシア人にとって謎の国だったエティオピア(東西の果てに住むエティオピア人;最古の人類の黄金の種族 ほか)
第3章 戦士にとって「奸計(アパテ)」が必要だったことの謎(アパトゥリア祭の起源譚;六歳で鍛冶屋の番犬の役をしたクホリン ほか)
第4章 古代ギリシア文学の中の謎(私とは誰か?;巨人キュクロプスの一つ目 ほか)
第5章 スピンクスの謎とオイディプス(スピンクスが出した謎;謎の答だったオノディプス自身 ほか)
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
1934年生まれ。東京大学大学院文学部西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部、学習院大学文学部教授を歴任。学習院大学名誉教授。専攻は比較神話学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たんたんx
9
第一章の「古代ギリシア人にとっての女の謎」は、女性の読者にとってはあまり気分の良いものではないかも知れません。第四章で、ギリシア文学に出てくる「なぞなぞ」をいくつか紹介してくれているのが面白いですが、やはり白眉は第五章の「スピンクス(スフィンクス)の謎とオイディプス」でしょう。何故、オイディプスに謎を解かれたスピンクスは断崖から身を投げて死んでしまったのか。何故、ソポクレスは「オイディプス王」を書いたのか。この物語が書かれた時、社会の状況はどんな風だったのか。一つ一つの謎を著者が詳らかにしていきます。2016/12/21
遊未
6
パンドラ、エティオピア、奸計(アパテ)、古代ギリシア文学の謎、オイディプス。初めての話がエティオピアですが、あちこちでエティオピアは出てきます。その意味は最果ての地、人と神々が近しい地であると。そして、人と神の違いは胃袋であると現実そのものの話になりますが、それだけ、古代ギリシアの地であh食べて生きていくことが大変であったということでしょうか。2017/04/30
azu3
1
謎の設定そのものからまず解説してもらわないと、馴染みのない話ではあるが、大変面白かった。オイディプスの謎解きは目からウロコで、何度も読み返してみたい章。2014/11/06
でろり~ん
0
オイディプスの話が白眉で、とても興味深いものでした。でも、なんだかこの本の構成は、専門的に勉強している人には違和感がないのかもしれませんが、そもそもギリシア神話にはこういう謎があります、という前段がないので、オイディプス以外の話は、ほほう、そですか、という感想しかなかったです。インド・ヨーロッパ語族に特有だとしている奸計は、どこにでもあるのではないでしょうか。少なくとも日本、中国、インドネシアの神話には在りますよね。なんかね、編集者がもう少し意見を言えば、かなり上質な「謎解き」になったのではと思いました。2018/05/05