出版社内容情報
混迷をきわめる論壇に抗して、真の意味で「政治」を考察する!現実の政治と理論の乖離、ますます複雑かつ不明瞭になる「左」「右」の対立……、新自由主義以後、世界的に混迷をきわめる言論状況。政権交代などの動乱を経て、政治やそ
内容説明
変容や衝突を経て分裂を抱え込み、政治を政治たらしめる“政治的なもの”とは何かを追求しつづけた政治学。その歩みを、公共性、自由、ジェンダー、戦後日本、“帝国”、ポストモダンなど多様な論点とともに鋭く解き明かす。
目次
政治思想と“政治的なもの”
第1部 “政治的なもの”とその諸領域(言語/政治学;政治思想史のフェミニスト的解釈によせて;政治思想史の語りについて)
第2部 思想家たち(シェルドン・ウォーリンと「脱近代」の政治;丸山眞男の近代;ニーチェの政治学は存在するか)
第3部 “政治的なもの”の現代的変容(現代アメリカと“政治的なもの”の危機;“帝国”と政治空間の変容;“政治的なもの”と“社会的なもの”)
著者等紹介
森政稔[モリマサトシ]
1959年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中退。筑波大学講師などを経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は政治思想史・社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
8
「セミナーではウォーリンの理論における政治的なものをめぐってさまざまな質疑が出されたが…あるアメリカの若い研究者から日本には批判的な社会科学というのはそもそも存在するのか、という強い疑問が投げかけられた。…日本側の参加者からは」丸山真男の戦後啓蒙の批判業績や住民運動環境運動に結び付く社会科学の可能性が述べられたが「ウォーリンを含めアメリカ側の参加者はほとんど納得しなかった」「マルクス主義のめざましい理論的刷新にもかかわらず、その成果が現実の政治の意味付けを…問い直すことになるかどうかはいまだ明らかでない」2021/10/05
kosukenouchi
1
人間の集まるところには政治が必ず存在するが、即物的に現前する政治の理想形や純粋形として、常に<政治的なもの>は問われてきた。ギリシアから現代まで、現実の政治や慣習、社会といったものと政治的なものとの関係性を論じている。新自由主義以後の政治理論を考えるというサブタイトルに惹かれたが、それを扱っているのは最終部のみである。個人的には、第2・8・9章、それぞれ、フェミニズムとの関連、国際政治に関連した<帝国>(ネグリ=ハートの概念を援用)について、政治的なものと社会的なものとの関係性、これらがとても面白かった。2015/04/11