出版社内容情報
『現代思想』が創刊された70年代から現在まで、雑誌『現代思想』の特集・営みを補助線として、時代の流れに沿った思想・社会の推移の検証を考察する。近代の枠組みに囚われつづけた草創期=「理想の時代」、あらゆる価値が相対化さ
内容説明
雑誌『現代思想』が創刊された七〇年代から現在までの社会/思想の推移を、その特集と営みを補助線としながら考察し、これからの歴史の読み方を鋭く問う。
目次
1 「理想」の終焉、「虚構」の胎動:1973‐1995(七〇年代―「理想の時代」と「虚構の時代」の狭間で;現代思想の「日本」;八〇年代―相対化のジレンマ;「虚構の時代」の両義性;九五年―歴史と記憶、政治と抵抗)
2 回帰する不可能な“歴史”:1995‐2011(九五年への助送・再論;カルチュラル・スタディーズという「場」;東アジア、戦後日本、新自由主義)
3 3・11以後と“世界史”の哲学:2011‐(「“世界史”の哲学」;3・11―未来の他者、渦中の思想)
著者等紹介
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了(社会学博士)。千葉大学助教授、京都大学教授を歴任
成田龍一[ナリタリュウイチ]
1951年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。日本女子大学人間社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
10
社会学者と歴史家が現代思想の流れを振り替える。歴史家は大きな物語(簡単に言うと難しいが普遍的な枠組み)=マルクス主義、唯物史観に多くおっているため、ポスト構造主義の導入は遅れたか導入しない場合が多く現代思想の流行を横目に見ている人が多い。他方カルチュラルスタディーズなど趣味の歴史が社会学、文学などで出てきた。大澤真幸氏はその中で、個人的あるいは一回的な体験、出来事でありながら普遍性を孕むような出来事=キリストの出現(一回的でありながらその後に与えた影響は計り知れない)などもありそのような普遍性はどのような2018/06/04
本命@ふまにたす
1
大澤真幸と成田龍一による対談本。雑誌『現代思想』を手がかりとして現代日本における思想の展開について論じられているが、いい意味で社会学と歴史学という領域の差が出ていて興味深く読めた。2022/03/22
マウンテンゴリラ
1
数年前まで、私自身の中では、現代思想というものの意味がほとんど理解できていなかった。最近になってようやく大澤真幸氏等の著作にいくつか触れることによって、たんに近代の延長ではなく、それどころか、近代を克服するがための思索群という重要な意味をそこに見出すことが出来るようになった。本書では、さらに歴史学の分野を掘り下げ、現代思想の息吹を取り入れながら、新たな解釈、新たな普遍を求めてゆこうとするものであるように感じられた。このように、社会学と歴史学、また更には、宗教学や自然科学等々、→(2) 2020/01/07