内容説明
自然と人間、社会と個人、他人と私…こうした二項対立を揺るがし続ける、我々が向き合うべきほんとうの外部・空間・世界とは?ジル・ドゥルーズの哲学を実在論的に用いていこうという「思弁的実在論」が耳目を集めている現在、生命を形式的に展開していこうとすればどういったモデルが可能なのだろう?ドゥルーズ哲学をポスト・ポストモダンの哲学へと更新する圧倒的生命論!
目次
1 脳内他者とわたし(他者を取り込む“わたし”;“わたし”の肉体と意識;いま・ここにいる“わたし”)
2 モデルの登場(ポスト複雑系―因果律と準因果作用子の邂逅)
3 モデル実装への糸口―生きものにみる社会性(大きさはどこからくるのか;計算のバイオロジカルな拡張)
4 実装―双対図式の脱構築(潜在性はいかにして表現されるか;空間はどこからくるのか)
著者等紹介
郡司ペギオ幸夫[グンジペギオユキオ]
1959年生まれ。東北大学理学部地質学古生物学教室卒業。東北大学大学院理学研究科博士後期課程修了(理学博士)。現在、神戸大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
9
食うもの(原初的サディスト)は、徹底した他者である食べられるもの(原初的マゾヒスト)を、自らの内部に取り込み、否定することの流動(いきもの→なまもの→たべもの)によって、外部を志向する。要点だけ掻い摘むなら、ドゥルーズのサディズム・マゾヒズム論を食う-食われるという原初的な関係にまで拡張した感じだろうか。本書ではアンパンマンが例に上げられていたが『東京喰種』の副読本にもなりそう。2019/04/25
Tenouji
1
恐らくではなく、確実に今年の最重要図書になるでしょう。計算機に二つ以上の時間概念を導入すれば、計算過程の渦のようなものができて、偶然性を埋め込めるのではないかと妄想していました。なので、私も非同期同調形セルオートマトンを実装しようではありませんか。内容は確かに難しいですが、部分と全体をつなぐ一つのモデルになるのではと期待しますね。2014/04/30
くれは
1
残念ながら何言っているのかサッパリ分からず挫折しました。読者に解らせようという気があるのか疑問です。例えば1章では、ドゥルーズの言葉で言えば、心にも中心化システム(ツリー)と非中心化システム(リゾーム)があり、その葛藤が「自我」と「他者」を生む、みたいなことを言ってるんだと思うのですが、それをわざわざ原初的サディストだの原初的マゾヒストだの著者自身にも整理できていない不明瞭な概念で説明されるのでイライラします。2章は因果律の多様性の話をしていたはずなのに、途中で目的論の話にすり替わるし…訳が解らないよ。2014/04/21
さとまゆ
0
はじめに、の部分でボンカレーへの熱い想いが語られる。「カレーという写像への興奮はいまだ収まるところを知らない」と仰る作者の心情がどうしても理解できない。。 私にはこの導入部分さえ理解できないのだから、著書全体を理解することなど到底不可能。 あとがきの、「いきものがなまものとなりたべものになる」という部分でちょっと作者に近付けたかと思いきや、最後にはやはり大きく突き放されてしまった。2025/03/27
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