内容説明
世界危機の30年代ヨーロッパに交錯する多様多彩な思想をかい潜り、フーコーの権力論に直結するル・コルビュジエの「ユルバニスム」は如何に構想されたのか。モダニズムの巨星を読み直す、全く独創的かつ画期的思索。
目次
第1部 地域主義の淵源
第2部 マシニズムで武装したサン・シモン主義者
第3部 知の宮殿「ムンダネウム」
第4部 分類すること(名付けること)と配置すること
第5部 規律と計画:一致することと相違すること
第6部 異なるものと他なるもの
付記 ルドゥからル・コルビュジエまで
著者等紹介
八束はじめ[ヤツカハジメ]
1948年生まれ。1978年、東京大学大学院都市工学専攻博士課程中退。1988年、熊本アートポリスのディレクターに就任。現在、芝浦工業大学教授。建築史、建築論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TANA
1
国際主義と地域主義という対立(この通俗的な二元論は、本書中ではその単純さゆえに批判されるのだが)を軸にして、著者の構想する「汎計画学」へと接近する。建築史、ル・コルビュジェ論というよりは「計画」と計画「主体」に関する思想史的展開を追った本というべき。読んでいて首肯する部分が多く、痛快である。著者の知識量・リサーチ量には毎度のことながら驚愕する。2014/03/03
キャラ
0
フーリエからの影響を据えて、理想的社会主義と称されつつも、その実態が見えづらかったル・コルビジエのプログラムとしての建築の捉え方を詳細に穿つ。ムンダネウムで知られるポール・オトレとの関連については、資料も豊富で面白い。力、知のダイアグラムを形態でいかに表現するのか。やっぱり、1930年台まではフリーメイソンに近いよね。個人個人は抽象的にならざるを得ない、広すぎる視点なんだよね博愛過ぎて。だから後の彼は、具体芸術「レア」に走りはじめた。さいごに、本書は私のような小さい脳みそでは、概して説明がわかりづらい。2025/03/26