内容説明
ラジオ、漫談、上岡流講談、演劇、テレビ…上岡龍太郎の“芸”とはいったいなんだったのか。上岡龍太郎自身をはじめ現場関係者の証言から描きだす一代かぎりの話芸の真髄。上岡龍太郎氏書き下ろし「ご挨拶」収録。
目次
第１章 上岡龍太郎のラジオ芸
第２章 漫談
第３章 上岡流講談
第４章 「上岡龍太郎劇団」「変化座」公演
第５章 サンケイホール「上岡龍太郎独演会」
第６章 テレビにおける話術
著者等紹介
戸田学［トダマナブ］
１９６３年大阪府堺市生まれ。２００４年、よみうりテレビ「第３３回上方お笑い大賞・秋田實賞」受賞。現在はテレビやラジオの番組構成、映画や落語を中心とした著述で活躍している（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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fwhd8325
69
今は関西の芸人が東京の番組に出演することは珍しくありませんが、私の子どもの頃は、とても珍しいことで、ごく一部の方しか名前と顔が一致しません。上岡龍太郎さんは「ラブアタック」で司会をされていた頃からでしょうか。まだ風刺を語らない時代でした。それが、風刺を交えて語るようになってから、東京でも注目されはじめたように記憶しています。芸への造詣の深さは、この著書で明らかですが、一人芸の限界を感じられたというくだりは、やはり芸人の性のように感じて悲しい。2023/12/16
けぴ
28
『探偵！ナイトスクープ』での切れ味良い口上が印象に残る上岡龍太郎さん。漫画トリオ解散後、横山パンチから上岡龍太郎になった後からの半生が語られる。ラジオで喋りのスタイを確立しテレビへ進出、さらに劇団を立ち上げたり独演会を開催したり。関東では知られなかった面が沢山ありました。付録のCDのロミオとジュリエットでは最盛期の上岡龍太郎節が聴ける。芸の無い芸能人が多い昨今、本当の芸を持った人でした。2018/11/17
浅香山三郎
21
『米朝・上岡が語る昭和上方漫才』（朝日新聞社）からの流れ。まう引退して20年になる（2020年現在）、上岡龍太郎氏の軌跡を辿り、テレビ以外の場で手掛けてゐた語り藝「上岡流講談」、芝居の世界を深堀りする。本書自体が上岡氏による語りおろしスタイルで書かれてをり、上岡氏の話藝を髣髴とさせる。巻末の「上岡流講談」の速記や附属のCDもあり、編者戸田学氏の行き届いた構成が有り難い。上岡氏の他の著書と合せ、戦後上方の藝能文化史の証言としても、たいへん面白い。2019/12/23
青春パッカパカス
17
知的なトークで笑いをとれる稀有な芸人・上岡龍太郎。彼の天才的話芸はラジオ、漫談、テレビ、講談、演劇で遺憾なく発揮された。しかし、伝統芸能に則した芸ではないため、見合った評価はついぞ受けなかった。そして彼は引退を選ぶ。惜しいことをした。 付録のCD（上岡流講談を収録）には圧倒される。彼の芸の記録はほぼ残っていないのでかなり貴重なものだ。不世出の芸人上岡龍太郎の軌跡に触れよう。2013/12/29
ぐうぐう
15
本格的な上岡龍太郎の芸論が、これまでほとんどなかったということが驚きだ。これには、はっきりとした理由が存在する。上岡の芸が、いわゆる話芸と呼ばれるもので、伝統芸ではなかったからだ。それはつまり、上岡の話芸が、ひとつの革新であったという証明でもある。漫画トリオ解散後、ラジオから始まる上岡の話芸は、ＴＶでのＭＣ、『パペポＴＶ』でのフリートークを経て、独演会での上岡流講談へと昇華していく。それはまさしく、唯一無二の話芸だ。（つづき）2013/10/07
