内容説明
われわれの世界はゆっくりとグローバルな全体主義的完全監視社会に向かおうとしている。政府や一部の大企業は自らの活動を隠匿しながら、一方でユーザーを監視し、その検索履歴を搾取し会話内容を盗聴する。それに対する唯一の防御は、自分で自分のプライバシーを守るために踏み出すところにあるのだ。政治からも商業からも自由なインターネット世界をつくるために、最前線で闘い続けるジュリアン・アサンジと3人の情報技術者が繰り広げる、荒々しくも鋭いディスカッションの記録。
目次
序 暗号的武装への呼びかけ
ディスカッション参加者
ウィキリークスとその関係者を迫害しようとする試みについて
ディスカッション(拡大コミュニケーション対拡大監視;サイバー空間の軍事化;人間の法によって完全監視と闘う;民間企業によるスパイ;物理法則によって完全監視と闘う;インターネットと政治;インターネットと経済;検閲;弱者のためのプライバシー、強者のための透明性;オペラハウスの鼠)
著者等紹介
アサンジ,ジュリアン[アサンジ,ジュリアン] [Assange,Julian]
ウィキリークスの編集長。サイファーパンク・メーリング・リストの設立者。現在は世界で最も活発なサイファーパンク哲学の主唱者の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
ネットの自由を一者が征服すれば徹底監視に、対抗すれば透明性とプライバシー擁護になるが、この対立は双方がコードを書き、解読する同じ技術から生まれる。80年代web世界が舞台のサイバーパンク登場と同時期に生まれたサイファー(暗号)パンクは、テロリズム、マネーロンダリング、麻薬戦争、児童ポルノを取り締まる国家の徹底した監視システム構築への警告とその社会に対する生き方を提起する。両者を体制反体制の旧来メディアコードで捉え、2年後プログラミングを義務教育化するこの国では、コードを書くことが日常となるのはまだ先か。2018/04/28
蛹
2
我々の情報は、複雑化したシステムの中で明らかな必然性を持って収集される。あらゆるコミュニケーションが監視され、個人が権力に服従させられる時、その対抗策になるのは、市民の側のコード化能力である。つまり、自由に読む権利と自由に話す権利を手に入れる為の手段や知識を個人の単位で持つことだ。アサンジは、ネット監視国家で普通の人が自由でいる事はもはや出来ないと言う。各人が中身を見る事の出来る(フリーな)複雑化したシステムの中で、個人が構造を理解しなければならない。その手段を持つ者だけが、「自由」でいる事が出来るのだ。2019/01/21
ひろ
2
ソニーによる顧客情報流出について、顧客自身が一私企業に「これだけの情報を与えている」ということを知ったまではいいが、問題の解決をソニー自身のセキュリティーリスクマネジメントの欠如に求めるあたりに、プライベートな情報を記録させることの意味について考えない人がどれだけいるかがわかる。文化的活動もクレジットカードや電子マネーといった追跡可能な貨幣を使用して行う限りアメリカにサーバを置くそれらを管理する企業とアメリカ合衆国の法規範から逃れられない。僕はPASMOとVISAを使うことをやめようと思う。2013/09/01
ter
1
インターネットを利用したコミュニケーションや取引などの情報が、全て国家ないしはGoogle等の企業により集積される現代において、監視や検閲から「自由」な存在であることができるのは暗号で武装した優秀なハッカーだけである、というのが主張の骨子。日本に限ったことでもなく、全てのインターネットユーザーが高度な技術とリテラシーを持つことなど到底不可能なわけで、情報を掌握する権力と、ウィキリークスのような「自由」なハッカー達の対立に終わりはなく、むしろ一般との乖離が進むばかりなのかもしれない、と感じた。2019/03/16
Shinya
0
普段なにげなく利用しているgoogleやフェイスブックなど ITは便利であると同時に、セキュリティーや、プライバシー、経済 政治、軍事などさまざまなことにかかわってくる。 普段の生活を送る一般人にはあまり考えなくていいのかも知れないけど 裏で行われている事実、また起こりうるかもしれないこと それらを頭の片隅にでも入れてから使うべきだと思った。2016/06/17
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