内容説明
プライバシーをとるか。安全と利便性をとるか。それともこの世界から「排除」されるか。どこかの国の上空を無人の軍事探査機ドローンが飛び、空港の入国審査では人種や年収や宗教が管理され、監視カメラに守られた高級住宅地に人々はこぞって住みたがり、日々の生活を見知らぬ多くの人に向けてせっせとツイートする、いびつな世界が出現している。ポスト・パノプティコンとも言えるあたらしい監視社会の真実を、世界を代表する二人の大社会学者が語りつくす。
目次
第1章 ドローンとソーシャルメディア
第2章 ポスト・パノプティコンとしてのリキッド・サーベイランス
第3章 遠隔性、遠隔化、自動化
第4章 セキュリティ・インセキュリティと監視
第5章 消費主義、ニューメディア、社会的振り分け
第6章 監視を倫理的に検証する
第7章 行為主体と希望
著者等紹介
バウマン,ジグムント[バウマン,ジグムント] [Bauman,Zygmunt]
1925年、ポーランド生まれ。イギリスのリーズ大学名誉教授
ライアン,デイヴィッド[ライアン,デイヴィッド] [Lyon,David]
1948年、イギリスのエジンバラ生まれ。カナダのクイーンズ大学教授(社会学)。同大監視スタディーズ・センターのディレクター
伊藤茂[イトウシゲル]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayan
15
ジグムント・バウマンとディヴィッド・ライアンによる「監視」をめぐるメールやりとり。カロリン・エムケの「憎しみに抗って」に対する社会学者の応答集とも読める。例えば、監視の位相がパノプティコンからシノプティコンへと変化していると指摘。これ自体は目新しくはない。が、個人的にはその途中にあるバノプティコンに注目したい。バノに由来するBanは、アガンベンが意味する「主権の名による追放・排除」と確認し、セキュリティの仕組みをより合わせる糸は他者への恐怖心と読み解く。それは自由主義的統治の内部にある例外状態を指摘する。2018/08/24
壱萬参仟縁
15
フーコーは、近代的な権力の典型的メタファーとして、パノプティコン(一望監視装置)を捉えているという(バウマン24頁)。プライバシーは、匿名性、秘密性、公平や公正、市民の自由、人権問題と結びつく(26頁)。Facebookも登場(着想)以来10周年のようだ(40頁)。バウマンによると、秘密とは、他人と共有することが拒否されるか禁じられている、あるいは厳しく管理されている知識(45頁)。知、ですか・・・。知の一長一短を思う。消費とは、個人の社会的価値や自尊心と大きな関係があるものに対する投資(50頁)。2014/02/03
魚京童!
13
http://kuzirappa.blog.fc2.com/blog-entry-1493.html2014/03/27
EnJoeToh
9
良いと思います。2013/07/18
cybermiso
6
監視される側がすすんで監視を引き受ける「DIY監視」って凄い概念だけれど、確かにそのような世の中になっているから不思議だ。聖書などの引用や専門用語が多く、難しかったが、身近な話題も多く、雰囲気は掴める気がする。2章の「個性も資源」という言葉には驚いた。今後どうなることやら。2013/12/18