内容説明
日本神話とくに出雲神話圏の主要神オホクニヌシの物語をてがかりに読み解かれる死と再生、豊穣儀礼、皮剥ぎの習俗、稲魂としての鳥、銅鐔の祭儀…。比較神話学の知見から弥生農耕文化への新視点を示し、様々な神話と習俗の謎を解き明かす、吉田神話学の到達点。
目次
第1章 大国主神の神話―ギリシア神話との類似と対比(オホクニヌシとアドニスの類似;嫉妬した神に、猪を送られて殺される ほか)
第2章 因幡の兎と大国主(因幡の兎と大国主の根の堅州国訪問;兎とオホアナムヂの皮膚の更新 ほか)
第3章 八千矛神の妻問いと弥生時代の稲作の祭り(八千矛と広矛の意味;アメノヌボコの役割との吻合 ほか)
第4章 弥生時代の祭りとスクナビコナの神話(弥生時代の鳥形木製品と銅鐔絵画の鳥;穂落とし神の伝説とスクナビコナ ほか)
第5章 弥生時代の「天的宗儀」と銅鐔(銅鐔の出土状況と「地中保管説」;稲の起源を地下界に結びつける説の難点 ほか)
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
1934年生まれ。東京大学大学院文学部西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部、学習院大学文学部教授を歴任。学習院大学名誉教授。専攻:比較神話学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
1
15ー152 古代ギリシャ神話との類似と対比…母離れとアニマとの出会い 「母殺し」による母離れのできぬ日本人 「母殺し」をせずに、成長を遂げたオホクニヌシ … 妻に惨殺されたアガメムノンと、オレステスの母殺し 「母殺し」をせぬ文化の価値… 鳥への化身… 「汝鳥」となる女神との交合 女神たちとの交合とスクナビコナとした国づくり… 日本神話、特に出雲神話圏の主要神オホクニヌシの物語をてがかりに読み解かれる死と再生、豊穣儀礼…。比較神話学の知見から弥生農耕文化への新視点を示し、様々な神話と習俗の謎を解き明かす2012/03/23
fuchsia
0
前半のギリシャ・メラネシア神話と比較しての「母殺し、アニマの獲得」と、後半の「鳥=穀霊、性と豊穣儀礼」は別のトピックとしてとらえた方が解りやすいかも。神話の成り立ちはそのまま民族の成り立ちとだそうで、日本は辺境で民族混合の地であるなあという実感です。メラネシア神話との共通項研究は昭和初期っぽいので時代の空気も反映しているのでしょうか。後半の「穀霊」のあたりになると、昔の農協技術指導員とか、穀物メジャーの研究員とかがこの精神を受け継いでいるんか等の妄想が・・・。2012/08/19