出版社内容情報
日本戦後ジャズ史に燦然と輝く名前、高柳昌行。その音楽と思想の内面を描き出し、今日の「音響派」との接点を浮き彫りにする。
内容説明
フリージャスからノイズ的音響へと転戦した“孤高の音楽家”高柳昌行。90年代より台頭し、今日の音楽を一変させた「音響派」。この二つを召還することによって浮上する驚くべき地平とは?前衛ジャズ、ノイズ、インプロヴィゼーション、音響派を通底する未見の核心を読み解く画期的音楽評論。
目次
第1章 高柳昌行の即興精神史―「汎音楽」と投射音楽の間(「汎 pan」と「ポスト post」;三里塚幻野祭のニュー・ディレクション;「切/断」する「汎音楽」 ほか)
第2章 ケージではなく、何が―音響の解剖学(音と音楽の解離;音響派論の諸相;『臨床医学の誕生』を召還する ほか)
第3章 高柳昌行の音響宇宙―アクション・ダイレクトの彼方へ(『死人』;アクション・ダイレクト前史;「響きと怒り」と「基調の響き」の相剋 ほか)
著者等紹介
北里義之[キタザトヨシユキ]
音楽批評家。1955年東京生まれ。1980年に学習院大学大学院国文学科を修士卒業後、音楽批評と関わるようになり、『ジャズ批評』『ステレオ・サウンド』『MJ無線と実験』『ミュージック・マガジン』などの雑誌を発表の場にして、執筆活動に入る。出発当初、60年代フリージャズ以降の即興演奏を中心に、マイノリティーの音楽、オルタナティヴな音楽を幅広く論じる方向をとったが、90年代に即興批判の文脈から声の領域に関心を移行させ、歌謡曲から即興ヴォイスまでをジャンル横断的に論じながら、音楽に限らない声の諸相を明らかにする試みを続けてきた。演奏の現場と関わりながら、企画・制作・CD通販を行なう個人組織「音場舎(おんばしゃ)」を運営し、ミニコミの定期的な発行、コンサート企画、CD製作などを通じて、大きなメディアに乗りにくい音楽情報を掘り起こす努力を重ねる。2006年6月、実母が重度の要介護状態となり、在宅介護を選択したため、現在音楽の現場からは遠ざかっているが、ミクシィで批評を発表し注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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