内容説明
ザビエルがキリスト教宣教師として日本に上陸して以来、イエズス会宣教師は布教活動のかたわら、日本の宗教・信仰文化の調査・報告にも従事した。本書はその報告書に基づき、日本における信仰、とくに神道のありようを詳細に再現し、日本人の神概念を浮き彫りにする。
目次
1 神道の神話時代
2 歴史時代の神道の神々
3 両部神道の神々
4 神道における自然崇拝
5 ミカドの崇拝
6 神道の礼拝
7 神道の倫理
8 原典
9 挿絵の説明
著者等紹介
シュールハンマー,ゲオルク[シュールハンマー,ゲオルク][Schurhammer,George]
1882‐1971。神父であり著作家
安田一郎[ヤスダイチロウ]
東京大学心理学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
根雨一郎
5
宣教師たちの、神に属するものとそれ以外(=悪魔)という単純な世界観で土着の宗教文化をバッサリやってしまう快刀乱麻ぶりにちょっと笑ってしまった。改宗した九州の領主たちが行った寺社への苛烈な仕打ちに世俗権力と旧来からの宗教勢力との微妙な関係が見えるような気がした。2013/04/11
mittsko
4
文句なしに面白いのだが、成り立ちがちょいとややこしい一冊だ… ドイツ語原著は『神道・日本における神々の道』1923年刊。著者はザビエル伝の執筆で有名なドイツ人神父で、ザビエル時代のカトリック筋、とくにイエズス会系の史料から本書(仏教に比して数が多くはない、神道に触れた、ポルトガル語やスペイン語などの一次資料の編纂引用による解説書)を仕上げた。16・17世紀の史料を、極東研究の嚆矢として、20世紀初頭の西洋における神道理解にもとづき紹介解説しようというのが原著、それが21世紀初頭に邦訳されたというわけ。2017/12/11
えふのらん
3
キリスト教的な世界観で日本の神々をデビルと一括りにしている割によく調べてある。古事記に登場する諸々の神々はもちろん、祇園祭(グィオン)がスサノオに向けたものだということや春日大社が藤原氏の祖神を祭っていることにも触れている。なお、春日大社の鹿はカスンガという悪魔の使いで触れたら刑罰、殺したら死罪とのこと(現地ではもう忘れ去られているけど)。切支丹が神具に飯を持って食べた事を殊更褒めている記述なんかみると感情がざわつくが、全体的にかなり詳細で「汝の敵を知れ」では片付けることのできない知的好奇心に溢れている。2022/08/04
takao
2
ふむ2023/01/16
saba
2
宣教師的には、カミも世迷い言だしフォトケも悪魔信仰となるわけだが、それはさておき良く観察しているなあと思う。まあ布教というか植民地化構想があるから、統治戦略のための現地調査報告書とすれば当然なのだろうが。人も海も森も岩も神様だよ!とか狼や狐や蛇や兎も眷属だよ!とか、異文化だけど、面白いとは思ったかな?建築や庭園には美しいと言っているけど。。博物館で見た宣教師による地図もめちゃ良く描けていた。備後がvigoと書かれてたが「なにヴィーゴ。こんな極東の蛮国にもスペインと同じ地名があるのか笑止」とか思ったかなあ。2022/09/02