出版社内容情報
グローバルに再編される権力状況の明快な分析と、フーコーの権力論を精緻に読み直す二部構成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
11
便所掃除をさせるため嫌がる相手にブラシを持たせ手を掴んで動かすのは暴力的だが権力の作用ではなく、行為を抑圧するよりイヤイヤでも自ら行為させる産出力としてフーコーの権力論を読解。乗り気でない相手も命令に従わせる権力を発揮できるよう、給料から暴力まで様々な物により権力者は脅しをかける等の説明の切れ味はまだまだ感じられるものの、集団が脱人格化し特定のパーソナリティに依存しない方向に進むとか主体・個人単位で考えないフーコー理論の弱さが気になる。カルト的に属人化した権力は電子データをもシュレッダー裁断できるらしい。2019/11/20
かふ
7
権力の問題をフーコーの権力論を論じながら現実に起きている国家と「テロリズム」「構造改革」「第三世界の拡大」「ナショナリズム」「ポピュリズム」状況を解いていく。「序論」の「国家権力とフーコー権力のあいだ」がもっとも重要。アーレントは権力は数を必要とするという。集団化されて維持される。権力者の死によって権力が譲渡されるよりも脱人格化した編成システムを形作る。孤立化していく個人と権力の集中化。ウェーバーの国家権力は暴力の行使であったとする。暴力意外のもの金と特定の権限が源泉となる。2014/11/24
白義
6
社会構築主義、構造主義的な単純すぎるフーコーの読み方を排して、テロリズムや民営化、ヨーロッパのポピュリズムといった現代的な時事問題が孕む、権力のメカニズムを解読している。状況編は国家権力といった一見フーコーの権力論には異質な要素と真っ正面から向き合って、今の権力の動態的な流れを手際よく整理、萱野稔人の時評集として軽く読めるけどヘビーな読みごたえ。対して理論編は、誤解に満ちたフーコーの権力論を細かく分かりやすく紹介、学生にも役立つパートになっている2011/11/03
D.Okada
6
言い回しもくだけているし、内容的にも軽い印象。真新しい知識というものはなくて、筆者の専門のフーコーを引用したりしながら、現代の取り巻く状況や理論が述べられている、といった感じ。フーコーに関心のある初学者なら読んでおくといいと思う。2011/02/09
ヒ
3
後半の理論編については知の考古学を読んでみないとなんとも言えない 前半の状況編については著者の立ち位置が明確にされないのでなんとも言えない2019/07/07