出版社内容情報
内容説明
小川洋子、吉田健一、ニート、芥川賞、ミステリ、人形、軽井沢。脳内に文學少女が居ついてしまった時のための処方箋。月曜日から日曜日、あなたに宛てた27通のお手紙。『文藝ガーリッシュ』の著者による読書エッセイ。
目次
月曜日 肺病で夭折した文學少女の霊に取憑かれてしまった人たちのために
火曜日 耽美と人形
水曜日 旅するお嬢さん
木曜日 「心は少女」の罠
金曜日 等身大と妄想のあいだ
土曜日 心のにきび対策
日曜日 芥川賞選評を読む
著者等紹介
千野帽子[チノボウシ]
勤め人・俳人。フランス政府給費留学生としてパリ第四大学ソルボンヌ校に学び、博士課程修了。2004年より休日のみ文筆業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
54
著者が雑誌に乗せた記事を再編集した文学エッセイ。文藝ガーリッシュの次に出た本のようだ。豊富な引用と作品で各テーマに添って論じる。軽井沢とニートとジャンル小説についてが、特に興味深かった。ミステリSF小説については、先日某新本格モノを読んでいたせいもあるが、長年の違和感を解消させてくれた。いろいろ刺激的な考察ばかりだ。文庫化ならんかな。「かつて稲垣足穂は室生犀星に〈美少年は君、ホータイをするものだよ〉と聞かされて〈降参した〉そうです」(耽美と人形)2017/05/20
りりす
25
〈成熟した女の人にふりかかるうっるさいセックスや良妻賢母などの抑圧をふり払わんがため〉に〈少女的な生き方や表現を選ぶ人がいる〉。けれどもそれを見て理解できない人達に、〈未成熟だ〉とか成長拒否だとか的はずれな事を言われてしまう。そうです。「良いお嫁さんになるね」なんて褒め言葉のつもりで言ってるんだろうけど褒め言葉じゃないし、好き勝手消費されるのも勝手に値踏みされた挙句消費の対象外として遺棄されるのもうんざりだから、私はそれらの圏外で暮らしたい。なるべくそういう抑圧のことは知らないふりを、していたい。2016/02/28
不在証明
7
文庫の解説で時たま見かける千野帽子さん。良いコト言ってる、と思うこと多い著者ですが、本書は章ごとにまとまりがなく引用と書き殴りでできているような気が。というか口悪い。愚民とか平気で言ってる。脳味噌すっからかんな読者はお帰りくださいと言わんばかりに煽ってます。2015/11/24
三柴ゆよし
6
ライトな書名・装丁とは裏腹に意外と読ませる文芸エッセイ。千野氏のいう「文學少女」とは、斉藤美奈子氏の定義する「踊る読者」にニアミスする概念なのだろうが、この人の場合、斉藤氏と比べて視野狭窄な感が否めない。本の読み方に対する選民思想(例えば、p143「あなたが<ノンフィクションは実話だから面白い>などという愚民に属するとは考えられませんが」)が全体の価値を下げている。いみじくも氏自身が触れているように、早急な「中二病」治療を必要とする。俺も人のことはいえないけどね。2009/09/23
芙蓉
5
一応登録というか感想を書く。世界の名作などを読もうと思い立ち本屋さんに行って出会った本ぱらぱらとみると「長野まゆみ」などに言及されていたので「お、文学少女へのおススメの作品を紹介するブックガイドかな?」と思い購入。ざっと読んだがブックガイドではなく評論だった。もうちょっとちゃんと確認すればよかった。個人的にはこの本は好きではない。なんとなくざらっとした読後感にいらっとした。2019/03/22