内容説明
真実と虚偽の区別、道徳への信頼、私たちが人間であるという合意、ニーチェはそうした常識を覆す。思想史に挑みかかり、現代批評理論の源流となったニーチェ哲学の、文学・芸術・現代文化に与えた衝撃を明快に説く。
目次
なぜニーチェなのか?(生い立ち;ニーチェの挑戦;ニーチェの政治思考;芸術;この本について)
キー概念(悲劇;メタファー;系譜学;歴史;善悪の彼岸;超人;力への意志)
ニーチェ以後(ニーチェの影響;芸術;歴史の検証;ニーチェ後の哲学;フェミニズム)
読書案内
著者等紹介
スピンクス,リー[スピンクス,リー][Spinks,Lee]
英国エジンバラ大学で、英米文学を講ずる。専門は、現代アメリカ文学、およびポストコロニアル・ポストモダン文化理論
大貫敦子[オオヌキアツコ]
現在、学習院大学文学部教授。専門は、ドイツ思想史、文化理論
三島憲一[ミシマケンイチ]
大阪大学名誉教授。東京経済大学教授。専門は、ドイツ現代思想、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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またの名
9
思想家を紹介する本にありがちな、梅毒の疑惑とか危険な恋愛関係とか逸話とかのどうでもいい伝記的要素で大半を埋める空虚な記述がほとんどない濃い解説書シリーズ(生い立ちの項目はわずか3頁)。各人物についてある程度の予備知識を前提としているようで、『悲劇の誕生』の有名なディオニュソスとアポロンの対概念も陶酔vs調和といった単純な二項対立ではなく相互補完し合う作用として考えられているといきなり説明するので、全体を概観するレジュメとして使うのが妥当かも。ドイツ思想史よりも文学理論や現代思想の文脈を重視してる点に注意。2015/10/31
tieckP(ティークP)
2
青土社の「現代思想ガイドブック」シリーズの一冊。外国の哲学系出版社ラウトリッジのシリーズから選択して翻訳されたもので、文学研究に役立つことを意識して書かれている。ニーチェについての僕の感想を述べても仕方ないので、本のできについて。時系列順にキーワード=章を並べてあり、後期の思想の理解に必要な知識を上手く与えながら進めていく印象。英米文学の引用が多いのは、文学という意味では嬉しい。翻訳は、原文を見る限り、あまり原文に寄り添っていないけれど日本語として読みやすい。入門書としては正しい戦略だろう。2012/03/03
SAHARA
1
分かったような気がしないでもない。 とりあえず、道徳とか規範とかは人間がつくったものだから疑うべしということはわかった。 芸術好きなのは好感もてる。2021/05/31
らーめんさん
0
何ヶ月かかけてやっと読み終わった。文学や映画の例が多くて、文学美術方面からニーチェを考えたい人に特におすすめ。2015/01/17
beenhakker
0
模範的な解釈がうまくまとめられていると思う。訳者あとがきにあるように、「曙光」や「悦ばしき知識」に関する言及は少ない2010/02/02