内容説明
カルチュラル・スタディーズの最重要人物、英国植民地出身のホールは、「文化」を権力の諸関係の絶えざる闘争の現場と考えた。政治的危機、暴動、メディア、人種差別、エスニシティ等をめぐって洞察あふれる抵抗理論への招待。文化闘争の現場に歴史の重層状況を読む。支配文化への抵抗。
目次
第1章 「ポピュラー」を脱構築する
第2章 カルチュラル・スタディーズへの参入
第3章 エンコーディング/ディコーディング
第4章 人種差別と抵抗
第5章 サッチャリズムと「ニュー・タイムス」
第6章 本当の自分
著者等紹介
プロクター,ジェームス[プロクター,ジェームス][Procter,James]
スターリング大学英文学部講師。他に戦後イギリスのカリブ系黒人文学を中心に、ジョージ・ラミング、ディアスポラ、ポストコロニアルなどを論じた論文が多数ある
小笠原博毅[オガサワラヒロキ]
1968年東京生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程修了。神戸大学国際文化学部助教授、専攻は社会学、カルチュラル・スタディーズ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あなた
3
ホールがやってきれてくれたおかげで随分と大学も風通しがよくなった。エンコーディング/デコーディング理論を使えば、鉄道だって動物園だってロックだって冬のソナタだってゼミでプレゼンすることができる。ちなみにエンコーディング(詠み込み)とデコーディング(読み出し)の訳語が秀逸すぎる。この本じゃないけどな。ギルロイもだしてくれえ2009/07/16
spikyhair
1
★★★★★2011/05/29
Ecriture
1
ポピュラーカルチャーを括弧に入れ、あらゆる関係性の中で文化とアイデンティティを問い直す。グラムシ以降理論の中にあそびを持たせることが可能になり、それを最もうまくこなした者のうちの一人がこのホールだろう。現在ではホールのエンコーディング/デコーディング理論も情報を単なる送り手と受け手の関係に落とし込み、伝達の段階を扱えていないという批判がなされている。確かにホールは頑張ったけど目標を達成できずに終わっている感はある。ホールによるアルチュセール批判もやや一面的な印象を受けた。2009/08/24
D.N
1
ホール並べなおしてみたらすげーという本 2009/07/04
tieckP(ティークP)
0
ホールは主著を残さない。僕は、この本の感想を残そうとしたけれど、字数調整をしていたらandroidのブラウザがお落ちになったので、残せなかった。そこでwindowsを立ち上げたのだけれど、windowsとandroidの関係は先進国と新興国に似ているから、どちらを利用するかという判断にも、消費者としての選択があり、しかしそれらの事実はこうやって述べなければ表象とならなかったわけだから、なんだろうね、最近、哲学もまた思想というより行為だと思えるのだけど、そうなるとこの感想文も、間接的・感想的行為なのだろう。2012/05/03