内容説明
鬼才の名をほしいままにし、伝説的生涯を余りにも速く走り抜けた異色の20世紀詩人ディラン・トマス。一世を風靡する豊かで繊細な詩才がほとばしるロマンティックで斬新なイメージの数々は、人々を魅了し続ける―。生と性そして死の往還をめぐる全詩業を完訳する決定版。
目次
『十八篇の詩』
『二十五篇の詩』
『愛の地図』
『死と入口』
『田舎の眠りのなかで』
補遺
著者等紹介
トマス,ディラン[トマス,ディラン][Thomas,Dylan Marlais]
1919‐53 イギリスの詩人。ウェールズ生まれ。若くして鬼才を発揮し、伝説的生涯を送る。晩年はアルコール中毒に冒され、39歳でニューヨークに客死する
松田幸雄[マツダユキオ]
1927年生まれ。慶應義塾大学卒業。詩人。『詩集1947‐1965』(室生犀星詩人賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ずっきん
63
柴田さん訳の「ウェールズの子供のクリスマス」はもー、ツボど真ん中だった。本職は詩人さんなので手に取ったけれど、無理だった。翻訳された詩は天上に向かってそびえる壁と認識。ディラン、ごめん。2020/01/18
saladin
4
うーむ、難しい…。映画『インターステラー』で引用される”Do not go gentle into that good night”(「あの良き夜の中へ」)がカッコよいので、他のものもと思ったのだが。本著ではお目当てのこの詩の和訳が丁寧語になっており、迫力不足にも感じた。”穏やかな夜に身を任せるな”、”怒れ、怒れ、消えゆく光に”のような命令調の方がこの詩にはふさわしいかな。2022/09/07
磁石
2
複雑で多彩なイメージが一つ一つの詩に難解さもたらしている。それにただただ圧倒される。彼の詩の難解さは、一貫した一つの思想によって作られているというより、トマスそのものの魂を彼自身がどうにか言葉で表そうと模索しているためではなかろうか。それゆえに、常に未分化な状態を保つことができるのではないかと思われる。時間を超えても語り手とつながっている言葉を、見た気がする。2013/02/18
イコ
1
詩集は色々集めていて時々読むのが好きなのだが、群を抜いて難解でした。詩は感性で楽しめるなーと思っていた甘い考えの横っ面をぶん殴られた気分です。そもそも映画インターステラーで出て来たあの良き夜のなかへで興味を持ったのだが、読んで行く間にだいぶ時間がかかった。ボブ・ディランがノーベル文学賞を取った時もつまみ読みしていたので二年以上かかって読みました。訳注があるので詩を読解するのに役にたちますがそれでも難解なのは変わらないな。帯の我が肉体には、獣と天使と狂人が住まうはカッコ良過ぎる。また読んでみたい詩集。2018/10/07
crpsclr
1
ウェールズの飲んだくれ詩人の詩集。新鮮かつ繊細な言葉のチョイスと、発想の独創性に驚く。「緑の導火線を通して花を駆りたてる力」、「すべてすべてすべてのものを」、「言葉の仕事が一つもなくて」等、タイトルからして秀逸なのは、翻訳者の松田幸雄さんの尽力も大きいだろう。性的象徴とキリスト教的象徴が駆使されている。聖書における「原初の言葉」という概念が頻出する詩には、言葉が発生する場所の混沌がある。ウェールズ人らしい饒舌な文体。2010/11/30
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