内容説明
突然赤ん坊を授かった文学教師は欣喜雀躍。だが文学などはねのける幼児のエネルギーにはたじたじ。子育ての苦労を笑いのめし、赤ちゃんと触れあう甘美な経験を悦楽にみちた文章で綴る傑作エッセイ。
目次
生まれ出る悩み
親馬鹿たち
雀のさえずり
鉄路の白薔薇
赤ん坊の食事
乳房の神話学
黒猫のタンゴ
反抗的人間
書物について
ウォーターボーイズ
おばあちゃんたち
みんな赤ちゃんになった
著者等紹介
野崎歓[ノザキカン]
翻訳家・エッセイスト。1959年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門はフランス文学、映画論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wasabi
1
「さらに一般化するならば、なべて『死』につながる主題というのは、文学的な正統性をあまりにやすやすと獲得してしまうのではないだろうか。それに対してこの世に出てきてしまった赤ん坊、一日一日と生へのエネルギーをふくらませていく幼児は、文学をはねのける問答無用の野蛮さに満ちあふれている。そして赤ん坊を迎えた側は高尚な感慨に浸る暇などあらばこそ、おむつを替え、抱っこしてなだめすかし、笑った喋ったといっては大喜びして随喜の涙を流し、くる日もくる日もそんな単調にして強烈な原初のエモーションの波に洗われ続けるほかなくなっ2018/01/22
moet(モエ)
1
楽しく読みました。赤ちゃんの泣きやませ方を求めて『ジャン・クリストフ』を読む人もなかなかいないだろうけど。2012/07/27
ロピケ
1
野崎さんがBSの番組に出演されて、その折に著書として挙がっていた中でタイトルが意外だったので無性に読みたくなりました。何となく読みずらい文体ながら、著者の子どもをめぐる日常生活は読んでいて楽しく、他の本を読んでいる途中だったのに最後まで読んでしまった。2009/12/06
二瓶くん
0
かなりファニー。面白い。これからこう言った育児エッセイなるものを読んでみたいと思うが、しかしこの著者のたまに私にもできないほどの高い教養があってこその面白さだったかもしれない。 何気なく図書館で借りたものの、身に沁みる言葉や、私の両親の苦労や心情を思わせる部分も確かにあって、良かった。2022/01/23
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- 和書
- 石に願いを