内容説明
彼らはイエスの癒しの場面を描きましたが、十字架のイエスそのものや、復活したイエスを描いていないのです。十字架にかけられたイエスを描くことは難しくなかったはずです。復活後のイエスを描くことも難しくはないはずです。しかし、それがないのです。古代ユダヤ‐キリスト教研究の第一人者が、大胆・緻密な仮説と論証で、キリスト教を支える「常識」と「定説」を塗り替える―。地下墓所の壁画に秘められたメッセージ、聖書外典の語る異貌のマリア、反ユダヤ主義とアンチキリスト、そして七十人訳聖書とヨセフス読解から見えてきた歴史の真実。
目次
第1部 図像に見る初期キリスト教世界(暗闇の世界のイエス・キリスト―カタコンベの壁画から;処女懐胎の摩訶不思議―マリアと聖画像;コンスタンティヌスの幻視と聖十字架伝説 ほか)
第2部 敵意の遺産(おかしいぞ、きゃつらの生活習慣は―古代世界と反ユダヤ主義;語録から物語へ―福音書の誕生と反ユダヤ主義;呪われよ、呪われよ―キリスト教美術に見る反ユダヤ主義 ほか)
第3部 初期キリスト教世界を形成した二大文書(初期キリスト教世界とギリシア語訳聖書;古いことほどいいことだ―モーセ五書の翻訳の経緯;エルサレムの炎上崩壊を目撃した人―ヨセフスの生涯とユダヤ戦争)
感想・レビュー
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優希
61
初期キリスト教に焦点を当て、キリスト教の根底に潜むものを解き明かしていました。イエスの奇蹟を語りながらも十字架と復活は描かられなかった初期のキリスト像。十字架も復活も描くのは容易なことであったかもしれませんが、十字架が描かれなかった背景には初期キリスト教が持つ光と闇があったようです。聖書の文書にはいかなる正当性があったかをユダヤの歴史に重ねることで改めて見つめ直すキリスト教。思想や神学の原点にあるものを考えるきっかけになりました。2016/11/02
kuppy
3
ヘブル語で書かれた(旧約)聖書が聖書ライターによりその時代の国際語であるギリシャ語に翻訳されるのに従い、誇張、権威付けされ、またキリスト出現を予言しているように改ざんされていく。紀元前の国際都市アレクサンドリアにおいてユダヤ人がマジョリティであったことに驚いた。一風変わった民族的習慣を固守するユダヤ人がパレスティナなどの周辺民族との軋轢を起こし、ローマ帝国への二度にわたる反乱は一方的な敗北、虐殺に終わりディアスポラにつながる。中東問題の根は深い。2024/01/30




