内容説明
人種を異にし肌の色を異にする人々との心のふれあい、胃癌に冒されて同じ胃癌で先立った妻を偲ぶ痛切な追憶、愛犬との出会いと再会と別離など、商社員として、生活の過半を海外で過ごした国際人が綴った人間愛の文章。
目次
わがセバスチャン
西アフリカの春
セバスチャンが死んだ夜
バスラーの白い空から
サン・セバスチャンに雪のふる夜半
私の週末
一九四四年春
海コーコート鳴レル夜ハ
著者等紹介
佐野英二郎[サノエイジロウ]
1926年生まれ。早稲田大学を卒業後、大手商社員として、アメリカ・イギリスそしてアフリカ等、およそ十九年を海外の各地に勤務。1987年、胃癌手術を受ける。1992年、術後五年の無事を祝ってまもなくの後、急逝
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Eriko M
13
商社マンだったという著者の 海外での暮らしや家族に関する短いエッセイ集。ボリュームととしては少なくてもきれいで切なくて、読みごたえのあるエッセイでした。 ★★★★☆2019/04/13
くみ
11
須賀敦子「本に読まれて」での紹介本。須賀さんもエッセイを読むのかと驚きました。作者は学徒動員経験をもつ元商社マン。引退して90年代に亡くなられるまでに書かれたエッセイと寄稿文が収録されてます。骨太な文章の中に輝くような自然描写が挟まれていて、作者の多面性を感じます。特に赴任地アフリカの回想は珠玉。もう少し遅く天に召されていたら他にどんな作品にお目にかかれたのでしょう。小説も手掛けられたかもしれません。混沌とした時代を生き抜かれた方のダンディズム溢れた作品、もっと読みたかったです。2020/11/08
たかさん
4
鼻先がほほに触れたときの冷たさ、舌で舐められたときのしっとりとしたざらつき、いつもいた犬がいなくなったとき、心の空白は耐えがたい。まして長年連れ添った愛妻を亡くしたときは筆舌に尽くしがたい。もう一度バスラーの空を一緒に見たかったのだろう。「ぼくは、いつか必ずあのバスラーに行ってみるつもりだ」優しく、哀しい8編感涙。2016/05/11
hechima1106
0
NC