内容説明
「文部省派遣留学生」夏目金之助。過酷で多難な長旅を経て、ロンドンでの自己喪失、幻視体験、狂気と紙一重の引きこもりを通し、自らを食い破って「小説家夏目漱石」へと変貌しゆく過程を克明に解き明かす、渾身の長篇評論。
目次
金之助、ロンドンに留学す
不安と戸惑いの横浜出航
船酔いに苦しむ金之助
光と影―イギリス植民地支配とアジアの現実
ノット夫人の一等船室で
砂漠の国の海を抜けて地中海へ
汽車の旅で難儀する金之助
初めての単独旅行―パリからロンドンへ
ロンドンの街頭に迷う金之助
『倫敦塔』―漱石自身による漱石殺し〔ほか〕