内容説明
2500年前、輪廻転生からの解説を説いたブッダによってはじまった仏教は、その明快かつ透徹した人間理解と、他の信仰を包み込む寛容さによって、たちまちアジア全域に広まり、その後、世界の思想・哲学・宗教にはかりしれない影響を与えてきた。その起原・歴史・教理・行事・美術をわかりやすくまとめ、近来、共生の思想としても注目される、仏教の全容を俯瞰。
目次
1 現代の仏教世界
2 ブッダの生涯
3 仏教の伝播
4 仏教の諸派
5 仏教の文献
6 美術と仏教
7 仏教の暦年
8 現代の仏教
著者等紹介
マドゥ・バザーズ・ワング[マドゥバザーズワング][Madhu Bazaz Wangu]
ピッツバーグ大学にて宗教学の哲学博士号を取得。同大学で教鞭をとる。またアーティストとしていくつかの受賞歴をもち、ヒンディー語の教師でもある
宮島磨[ミヤジマオサム]
1956年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科単位取得退学。専攻、倫理学・日本倫理思想史。現在、九州大学大学院人文科学研究院助教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
25
《購入本》いかに自分自身が仏教の全体像を知らなかったのかを再確認させられた一冊。宗教というよりも習俗として日本に深く根付いているはずの仏教は、そうであるからこそ、私たち日本人一般にとっては特定の一面しか見えていない。思想、歴史、組織はいずれも長い歳月を経て、変遷しており、原始仏教と現代の各国の仏教・宗派はあまりに多様化し、容易に同一性を見いだせない。そうした仏教の俯瞰図を本書は偏りなく紹介してくれている。全体を理解するための入門書として最適な一冊であった。2022/06/06
Riopapa
5
コンパクトで入門書としてはいい。創価学会が出て来るとは思わなかった。2018/05/19
山がち
4
著者は海外の研究者ではあるものの、インドに限らず中国、日本、チベットなど幅広い地域を扱い、また同時に時代に関しても広くカバーしている。範囲ならびに分量から多少内容の薄さはあるものの、とにかく概論として広く扱っているのが良かった。さらに、この薄さは一方では分かりやすさにもつながっており、仏教に関して最初に手に取るのは悪くないかもしれない。やや独断が強いような感じがし、本文内容の妥当性は検討する必要はあるかもしれない。ともかく、内容の幅広さと、海外の研究者という独自の目線とがあり、かなり興味深いものであった。2013/07/18
がんぞ
3
手塚治虫とネタ共通か、ブッダ(ゴータマ・シッダールタ)の生涯はほぼ一致。活動したのはBC4〜5世紀頃、BC270頃に王位についたアショーカ王がマウリヤ王国の拡張後に仏教徒≒菜食主義者となり荘園を寄進された出家者は常時遊行を免れた。他国へも仏教布教師を派遣した。ブッダの姿を刻印した貨幣さえ作られた…ギリシア系との対話で生まれた『ミリンダ王問経』は哲学的側面を追求した聖典/イスラム教徒による寺院破壊などでインドで仏教は滅びたが大乗教の最終的形態の密教はチベットで継承/日本の仏教は南無阿弥陀仏と唱えるだけと総括2024/06/27
akuragitatata
3
こんなにコンパクトにまとまった仏教の本がこの世にあるなんてしらなかったというぐらいにコンパクトにまとまり、出版年の古さを忘れる程にアクチュアリティのある本である。しかしそのコンパクトさ故に仏教という巨大な荷物は入らず、欧米の記述を中心にするあまり地域仏教史には処刑攻撃を食らったかのような致命的な欠陥がちらほら見える。それを訳者がたまらず注意している[ ]が本当の読みどころかもしれない。創価学会にも触れている。しかしこの本を読んであらためてしみじみおもう。「やっぱりブッダはすごくありがたい」と。2017/06/24