内容説明
ブルターニュ地方の漁師町に暮らし、おのれの生の小宇宙を瞑想した作家ペロス(1923‐78)。その生涯と言葉に息を吹き込み、ものを書く人の魂の闘いを描き切る渾身の長篇エッセイ。
目次
取り逃した詩の影―序章
従僕の位置
螺旋状の仕事
空白のダンディズム
友情の限界
彼女はそこにいる
マッツォーラ、リヴェラ、リヴァ―間奏曲
「近しいひと」のムーヴメント
生きるという天賦の才
背中合わせの沈黙
火急の言葉
失われた声
退屈でない日曜日のために
息を吹き込む土地―終章
著者等紹介
堀江敏幸[ホリエトシユキ]
作家、仏文学者。1964年岐阜県に生まれる
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- 評価
風鈴の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
4
2013年冬読了。 ジョルジュぺロスやジャングルニエのことなど知らずに読み始め、心を奪われた。 河岸忘日抄にも通じると思うのだけれど、 ひねくれているようで正鵠を得ている感、静かなる内燃、不器用さ、実直さ、 そんなものを感じ、勇気づけられた。自分にとっては、特別な一冊。
serene
2
なんとなく堀江敏幸の文章が恋しくなって、ジョルジュ・ペロスのことは全く知らないままに読んだのだけれど、これはすごくよい本でした。 幸せな出会いでした。 ジョルジュ・ぺロス、そして、この本そのものと。 2011/09/28
gorgeanalogue
1
沈黙と空白の縁を歩くように、書簡と詩のパラフレーズをしながらペロスの人と言葉の両方に近づこうとする。もっとも印象深いのはグルニエとの距離のとり方と、声を失った晩年にペロスがマジックメモ(魔法の石板)を使っていたというエピソード。個人的にはここをもう少し展開してほしかったような気もする。2017/03/23
口先男爵
0
ペロスが私たちに、いや少なくとも私に教えてくれるのは、人嫌いのあり方でも田舎暮らしの厳しさでも望んで得た貧困でもなく、書くという営為のなかで嘘はつかないという一点である。2018/02/11