内容説明
人道主義の名のもとに、安全保障が人を脅かす。湾岸戦争から9・11、イラク攻撃、そしてグローバルな内戦状況へ―「国家の安全保障」に代えて提唱された「人間の安全保障」にひそむ陥穽とは。批判的世界システム論の視点から、ポストモダン状況における「安全」の意味を根源的に問い直し、新たな国際的公共性の創出を提起する。
目次
安全保障の逆説
第1部 長い二一世紀システムと境界の交渉(「長い二一世紀」におけるボーダー/ボディ・ポリティクス;国家安全保障という制度的思考の揺らぎ―ポストモダニティと“アイデンティティ/危険”;「人間の安全保障」という逆説―“恐怖からの自由”と“他者への恐怖”;「帝国」の思想としてのデモクラティック・ピース論―虐殺の論理と生け贄の論理を超えて)
第2部 ポストモダン帝国体系の統治性とまなざしの政治(まなざし(視覚/身体)のグローバル・ポリティクス―圧縮された時空間の歪みとバロック的戦争機械
“条件付き歓待”の国際政治―国際難民レジームの危機との関連で
人道的介入と“他者に対する責任”の脱/再領域化―決断主義という裂け目
ジェノサイドとイノセンスとのアイロニカルな関係―「出口なし」状況について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
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安全保障の「ジレンマ」と「逆説」議論はハンナアーレントの「ヒューマニズムのアポリア」が中心となる。難民という単語がメディアに出るとき、それは本書で議論される「ニュース映像とは『非日常性』を表象するものであり、負の価値を付与された非日常性の表象は「異物」や「他者」として確認され、排除される」が現実となる。その際、難民は他者の視点(安全保障という視点)に身を置くことによって自己の再組織化がホスト社会内で許されるか、否か。排除の機構が暴走し…という議論は、最近の難民・移民の報道を通じて大きなリアリティを感じる。2018/06/23
sayan
1
p.216~244条件付の歓待の国際政治 ~国際政治レジームの危機との関連で~難民の封じ込め政策→難民は、冷戦後、国家安全保障ないし国際安全保障上の脅威として見られる事が多くなった(背景:アイデンティティは国家が守るべきものであり、「人の移動」はそのアイデンティティに対する脅威であり、社会的安全保障の問題であるためbyバリーブザン→ベンサムの安全保障観=社会的安全保障(古関彰一の書籍)を急いで再読。2015/10/17
sayan
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新しい発見あり、感想は後ほど2015/04/26
sayan
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p.351 正義は議論の種になる。力は非常にはっきりしていて議論無用。そのために人は正義に力を与えることができなかった。なぜなら力が正義に反対してそれは正しくなく正しいのは自分だと言ったからである。このようにして人は正しいものを強く出来ず強いものを正しいとした。2015/01/26
sayan
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感想は後ほど2014/08/12