内容説明
恐怖のミイラ、生血を吸う女からドラキュラ、白い肌に狂う鞭まで。世界最先端の映像を作りつづける黒沢清の原点は、“恐怖”を体現した映画の数かずだった。稀代のホラー・マニアにして実作者である二人が、世界の怪奇/恐怖映画の「技術」と「心」を細部まで語り尽くし、映画そのものの神髄へと肉薄する。
目次
序章 それは恐怖のミイラから始まった
1 『生血を吸う女』と運命の機械
2 吸血鬼ドラキュラと六〇年代ハマー・フィルムの盛衰
3 マリオ・バーヴァとヨーロッパ怪奇の神髄
4 トビー・フーパーと生から死への緩やかな移行
5 アメリカン・ホラーの知恵と勇気
終章 恐怖の星の下に生まれて
著者等紹介
黒沢清[クロサワキヨシ]
1955年生まれ。大学時代から『白い肌に狂う牙』『しがらみ学園』など8ミリ映画で注目され、83年『神田川淫乱戦争』で劇場映画デビュー。89年『スウィートホーム』、92年『地獄の警備員』、97年『CURE』、2001年『回路』などホラー作品のほか、99年『カリスマ』などで世界的映画作家として認められる。2003年『アカルイミライ』でカンヌ映画祭コンペ部門に参加
篠崎誠[シノザキマコト]
1963年生まれ。大学卒業後、アテネフランセ文化センターで映写技師をつとめるかたわら、映画ライターとしての活動も始める。96年『おかえり』で劇場映画デビュー、ベルリン映画祭最優秀新人監督賞をはじめ、海外の賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えふのらん
3
長回し中の殺人も物のように扱われコロンと転がる死体や痙攣する死体も、気が動転して犯行を思い出せない犯人も結局のところ縁起(死の機械)によって引き起こされる感情を表す手段で、ホラー映画とはそのためにある、らしい。バザンのパロディみたいなことも言っているのに、そんな素振りも見せずにトビーフーバーを映画史の中心に据えるといった話に膨らませていくのがとても楽しい。きれいな蓮実重彦っぽい。2020/07/12
gu
3
何より驚くのは作品に対する言及がどれもこれもとても具体的なこと(映画好きの人なら当たり前なのかもしれないけれど…)。怪奇映画・ホラー映画に限らず、創作物について語ったり考えたりする上で凄く勉強になる。黒沢清の言動がところどころかわいい。2019/06/16
王天上
3
ホラー映画しか観ないようになった今、「スイートホーム」をもう一度観たら色々見どころがあるのだろうか。2017/11/16
両目洞窟人間
1
最近出たkindle版で読みました。kindle版は20年前に発売されたCD-ROM版を元にしているそうで、よりボリューミーな内容だそうです。 自分たちの好きなホラー映画を話し合うって内容の本だけども、好きなポイントやトビー・フーパー監督への賞賛が、回り回って黒沢清監督の作品作りに反映されているのを感じたり、それはそれとして紹介されている多くのホラー作品を見たくなる本でした 本書は2000年ごろの対談なので、2021年の、今の目線からの『恐怖の映画史2』が読みたいなと思いました。2021/08/10
a.k.a.Jay-V
1
終始興味深く拝読。特筆すべきは異なる意見の対処法と渦の所。まぁお二人に限らずだけど、本当に映画好きの方の話しを聞くと自分はつくづく映画を観てないんだなぁ〜とも。2020/12/31
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