内容説明
ランボーよりも冒険的で、ワイルドよりも豪放で、ブルトンよりも過激で、デュシャンよりも繊細で、誰よりも絶望的な、伝説の詩人の初の評伝。
目次
オスカー・ワイルドの甥
放浪、そしてボクシング
モンパルナス界隈
エコール・ド・パリ
ダダの先駆者
詩人クラヴァン
亡命者の宴
詩人とボクサー
ニューヨーク・ダダ
旅する孤独な魂
メキシコの日々
伝説のはじまり
著者等紹介
谷昌親[タニマサチカ]
1955年東京生まれ。早稲田大学大学院博士課程中退。パリ第三大学博士課程修了、文学博士号取得。現在、早稲田大学教授。専攻フランス文学。レーモン・ルーセル、ミシェル・レリス、およびダダやシュルレアリスム周辺の作家研究、映像文化論などを手掛ける。モダニズムにおけるエグゾティシズム・多文化主義の諸相も探究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のうみそしる
1
こんな生き方があったのか。表現の枠にとらわれず、貪欲になんでもやって突き進む。挑発に次ぐ挑発。雑誌を作って論的の展覧会場前で売る。ミナ・ロイにぞっこんすぎてちょっと切ない。「パスタさながらの凡俗な思考が 鵞鳥なみのおれたちに詰め込まれ、 その間も、二足の靴にもまして 緊密な関係にあるおれたちの胃が、 肝臓の熱に応えつつ、 腸のオーロラの光に浸るだろう。」縮こまっていてはいられない。2022/04/09
火曜日
0
ワイルドの甥を自称するクラヴァンの文章「オスカー・ワイルドは生きている!」は「STAP細胞はあります!」的な叫びか。アイルランド系の流離の酔いどれ詩人ということで『鷲は舞い降りた』のドナルド・サザーランドを思い出す(風貌も似ている)。革命下メキシコにも渡った由、『夕陽のギャングたち』のIRAにも通じる所謂「アイルランド系らしさ」の表象のモデルケースのひとつだったりもするのか?? ボクシング史・ボクシング文学史・爆弾テロ史等の簡易説明が興味深い。