内容説明
神話は人類の心を映しだす鏡である…とすれば、日本人の心はどのような姿で映しだされているのだろうか。神々の不思議なしわざに隠された数々の象徴をときあかし、神話の意味と力をよみがえらせる、鮮明で平易な日本神話の解読。
目次
農業の始まりを説明した神話の意味
農業の始まりの神話にみる東西の労働観の違い
作物そのものを尊い神さまとして崇める信仰
日本の昔話と神話がなぜ似通っているか
山の神の神秘に寄せるあこがれの感情
幾度も生き返ったオホクニヌシの数奇な運命
オホクニヌシを助けた種の化身スクナビコナ
日本神話の大きな特徴の一つ造化三神の存在
対立する二神のまん中にいる何もしない神さま
争いを緩和する“無為の中心”の不思議な働き
処女神アマテラスの偉大な力
平和のシンボルとしての最高神アマテラス
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
1934年生まれ。1959年、東京大学大学院西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部教授を経て、現在、学習院大学文学部教授
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感想・レビュー
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色々甚平
6
日本神話をかいつまんでわかりやすく書かれている。他国の神話との比較を入れ込むのはいいが、他国のほうはざっくり説明して日本の神のほうがいいだろうという書き方には苦笑してしまったが、大まかにでも話を知ることができるのでいいとおもいます。2014/03/28
ユ
1
ギリシア神話などと絡めて古事記・日本書紀のおおよそが書かれていた。読みやすくてわかりやすい2022/07/02
るぅ
1
日本人は太古から続く素晴らしい民族だということが神話から分かる。わかりやすい書き方で、神話の意味まで考えたい人向けの入門編といった感じ。昔から神話の中ではアマテラスが特に好きだったが、それはなぜなのか、この本を読んで明確に分かった。意味を考えずに読んでも楽しいから神話は大好き。スサノヲが中盤までDQNなのは何度読んでも面白いです。2015/09/14
すぐる
0
○2013/10/17
みゆ
0
対立する二神のまん中に、何もしない神さまがいるという構造分析が面白かった。「無為の中心」が無為であるがゆえに争いを緩和するという構図は、はっきりさせることが苦手な日本人っぽさに通じているかもしれない。他の国の神話にはあまり見られないということにも驚いた。三すくみの関係で力のバランスを保つのではなく、無為の神を仲立ちにすることで調和を保つというあり方は、神話だから成り立つのだろうか。現実の諍いや政治の停滞などに活かすための知恵が隠されているような気がするが・・・奥が深い。2012/06/26