内容説明
芸術作品とは、享受者の積極的介入によって意味内容が可逆的に発見される「開かれた」形態である。前衛芸術にひそむ曖昧性を「開かれた」作品として擁護し、現代芸術の可能性を切り拓く、ウンベルト・エーコの記念碑的労作。
目次
第1章 開かれた作品の詩学
第2章 詩的言語の分析
第3章 開かれ、情報、伝達
第4章 視覚芸術における開かれた作品
第5章 偶然と筋―テレビ経験と美学
第6章 現実参加としての形成様態について
補遺 エデンの園の言語における美的メッセージの生成
著者等紹介
エーコ,ウンベルト[エーコ,ウンベルト] [Eco,Umberto]
1932年、イタリアに生まれる。小説『薔薇の名前』の作者として余りにも有名。ボローニャ大学教授として、記号論・文化論等を講ずる。60年代以降、イタリア文化界の理論的支柱とされる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
17
この書は美学理論というより、文化史、詩学の歴史について論じている。詩学とは文学作品の言語構造の究明を意味するが、その究明をヴァレリーの詩学講義にならい、すべての芸術ジャンルに拡充し、検討している。目的は芸術に関する一連の定義と美的諸価値とを推定しようとするもの。詩学の企図を明らかにし、それによって文化史の一局面を解明していく。文化史ないし詩学の歴史と言っても、現代の作品はおしなべて動的なもの(開かれた作品)。そこでは「なんらかの作品において完成する」創作行為あるいは創作する活動という構造が問題となる。ー>2020/12/22
笠井康平
0
TVゲーム時代の作品受容論をわりと先取りしてる。2011/01/16