内容説明
時を越えた世界への誘い。魔女や異人が活躍する神話や物語の世界からペテン師が暗躍する近世ヨーロッパまで。人間の想像力が生み出す夢とあやかしの世界を碩学たちと解き明かす、博覧強記の種村ワールド。
目次
西洋の魔女、日本の魔女×宮田登
物語世界の異人たち×小松和彦
吸血鬼幻想×萩尾望都
カザノヴァの十八世紀×窪田般弥
陽気な黙示録×高山宏
鏡花、彼岸の光明×川上弘美
百〓、明晰なる精神薄弱×川村二郎
著者等紹介
種村季弘[タネムラスエヒロ]
1933年東京池袋生まれ。東京大学独文科卒業後、編集者を経て駒沢大学講師、都立大学助教授。自由文筆業を経て、1999年まで国学院大学教授。文学・美術・映画など多岐にわたる評論で吸血鬼、悪魔、錬金術、詐欺師などを対象とする
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
56
種村さんと七人の人達との対談集。萩尾望都さんとは:最初さぐりさぐりな感じで対談が始まって行くのが面白い。吸血鬼の話から自殺や漫画のキャラクター設定の話など。高山宏さんとは:高山節炸裂!シュルレアリストの前のモダニスト達を知れたのは収穫。後、親切な脚注が嬉しい。2019/10/22
ワッピー
34
【日本の夏は、やっぱり怪談】洋編の扉本として。前世紀末に「ユリイカ」に掲載されたもので、学識と美意識に翻弄される。文学論が中心とはいえ、民俗学にもどっぷり踏み込み、特に東西魔女の考察は「グレートマザー論」としてワッピー的には得るところが大。どれも非常にスリリングな対談で、18世紀のフリーク論やら鏡花の文学性と音読、内田百閒の本質についての火花散るやりとりは楽しめました。鏡花を音読で考えたことがなかったけれども、文語調はおのずとリズムがあって当然だとも感じます。各対談相手やテーマが好きな方にはおススメ。 ⇒2021/06/23
eirianda
13
小松和彦との対談が興味深い。子供は未分化で善悪の区別がついていないが、一方大人は子供が純粋無垢といった幻想を持ち、子供に残酷な本を見せてはいけないとか、常に仲良くしろなど、大人の意向を反映した本ばかり氾濫。本来民話は差別を内包し残酷なフォークロアがあるのに、世の中みんな良い人という童心主義があり、自主規制で排除してしまう。世の中(悪)というのはなければいけないぐらいに言えるはず…。など。大衆作家ゾロゾロ無限に本出してたらエネルギー枯渇する…。など。他にも色々興味深いことがあり書ききれない。2016/09/10
Roy
9
★★★★★ すごく良かった。種村季弘が学者、作家、漫画家などと魔女、異人、吸血鬼、カザノヴァ、近代の幻想文学作家、泉鏡花、内田百閒について対談する。川上弘美目当てで読んだのだが、どれもこれも興味深くて面白かった。2008/12/08
三月★うさぎ
1
とても興味深い本。 かなり背伸びして読んだが、ほとんど未消化。己の未熟が口惜しい。2009/01/10